プロの住宅レシピ 暮らし方にあわせて空間を変化させる建具
山下和哉
住み心地の良い家というのはそれぞれの生活によって異なります。家族構成や職業よっても違いますし、同じ人でもライフステージによって求めるものが変わっていきます。
近年は生活の仕方も多様化しており、従来の一般的とされてきた「間取りの型」を取り払ったプランが暮らしやすさにつながることも増えています。
今回は、働くひとり暮らしの男性の生活にフィットさせた住宅の例をあげていきます。
施主は平日は仕事で忙しく、休日は外出せず自宅で趣味を楽しむという生活で、平日と休日で求められる空間が違っていました。平日は帰宅後、寝室へ直行できる玄関からのスムーズな動線が必要、逆に休日は玄関への動線は必要なく、のんびり過ごせるリビングやウッドデッキの大きな空間が必要でした。そこで、壁で分けた固定的な間取りではなく、建具でフレキシブルに空間を変化させられるプランとしています。平日は建具を閉じて玄関と寝室をつなぐ廊下となる空間は、休日に建具を開けると広々としたリビングの一部になります。他には浴室も平日はサッと入浴できるシャワースペース、休日は建具を開け放ってデッキとつながる開放的な浴室となるように設計しました。
住まい手の暮らしにあわせて変化する自由な住宅です。
PHOTO:©ToLoLo studio