プロの住宅レシピ スキップフロアの空間をつなぐベンチソファ兼収納
佐藤 仁
『扇ガ谷の住宅』のリノベーションは天井の高さやスキップフロアを活かしながら、より空間を広く感じられるようにつながりを意識したプランです。
既存の間取りでは、スキップフロアのレベルごとに空間が切り分けられていたので、それぞれがやや狭く感じられました。それらを大きなひとつの空間として使えるように視線や動線がつながるように再構成していきました。
その中で行った工夫の一つが、キッチンとリビングダイニングのフロアをつなぐベンチソファ兼収納です。
下のキッチンフロアに新たに設けた収納の上部は、上のリビングフロアの床上30㎝の高さまで達し、その天面をボロン敷きのベンチソファにしました。およそ2m×1m程ある広いスペースなので、寝転んだり、子供が上で遊ぶことができます。下のフロアでは収納は3分割になっており、それぞれワインセラーやストック類の保管スペースとしてパントリーのように機能しています。
元々は下フロアはダイニングキッチンで、キッチン部分は閉じられた空間でしたが、壁を取り払い、外に視線が抜ける向きに変更し、ダイニングの機能も上フロアに上げました。キッチンとダイニングのフロアはわかれましたが、造作家具を介して視線や行為がつながり、より一体感と広がりを感じられる空間になりました。