プロの住宅レシピ 住まう人の個性が活きたキッチンタイル
野口修一
建築家が一人で設計した空間は整ってすっきりしたものにはなりますが、そこに建て主の方の個性をスパイスとして加えることで、予定調和を崩して、よりその人らしい暮らしができる場にしてほしいと考えています。
もちろん建て主の方の要望や、生活の様子などのお話をよく伺って設計していきますが、私自身の特徴として木の色や漆喰の白を活かして色数を抑えた空間を作っていくことが多いです。ですが、それによって住まう方が調和を崩してはいけないという緊張感を持ったり、制約を感じてほしくはないな、という気持ちがあります。
そこで、建て主自身の発想をプランにに加えることで、建築家の設計を超えたその人にとって居心地の良い空間を作るということをよく行っています。
その個性を表現する場となるのがキッチンのタイルです。ご自身の好きなタイルを選んで下さい、とお話しして生まれたのが写真のようなそれぞれのキッチンです。皆さんせっかくなので他にはないキッチンにしようと思われるのか、鮮やかな色を選ばれる方が多いです。楽しんで選んでもらえ、それぞれの家族の個性が活きた魅力的な空間になっていると思います。
PHOTO:小泉一斉(Smart Running一級建築士事務所)