プロの住宅レシピ 床として成り立つ吹き抜け ~光と風が行き渡る校舎裏の家~

an Archi-Lab. 一級建築士事務所
足立達哉・鍋島旦
キッチン

2階で採った光を、ルーバー状の床を通して1階まで余すことなく届ける。校舎側の1階の窓は高さを抑えた躙口にして南の光を確保しながら外部の視線をカット。

把手

階段部分の開口とルーバー状の床で光だけでなく空気の流れも確保。

天窓

2階に上がる。しっかりした90mmほどの厚みと梁で強度も十分なルーバー床の側面部分が見えている。天窓から明るい光が降り注ぐ。

建具材料

明るく開放的な2階部分の居間。写真左に見える寝室との間を仕切る建具はポリカーボネート製。天窓と窓の自然光を通す。

テラス席のような雰囲気になる夜間の2階。夜は学校からの視線もない。

『校舎裏の家』は建て替えで、南側に小学校の3階建て校舎、東西に隣家が迫るという環境でした。
大人同士の母娘ふたりの住まいということで、部屋数などよりも最優先となったのが、光と風が通り明るく暮らせる家にしてほしい、という環境的な要望でした。
そこでプライバシーを守りながらいかに自然光と風を取り込み、家中に行き渡らせるかということがテーマとなりました。
そのテーマを叶えるべく設計したのが2階のルーバー状の床です。居間を1階と2階の2層にわけ、校舎からの視線があまり気にならない2階の居間に、通常の窓に加え天窓を設けました。2階が光だまりとなり、ルーバーを通して1階まで降り注ぎます。一方で1階の南側の窓は、日中の校舎からの視線をカットするために、掃き出し窓ではなく、高さを抑えた躙り口にしています。小庭を校舎との間にクッションとして挟んだので、そこからも光は採れますし、2階から透過する自然光と併せて1階も閉塞感のない明るい居間になりました。
吹き抜けという選択もありますが床面積が減るので大きくとるのは難しいケースもあります。
床として成り立たせながら、風と光を通す方法として生まれたルーバー床です。

PHOTO:冨田英次写真事務所

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採用されている製品

キッチン|サンワカンパニー
株式会社サンワカンパニー|sanwacompany ltd.
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ここが私の評価ポイント!
■採用製品:グラッド45

『校舎裏の家』のキッチンはグラッド45を採用しています。 土間やラワン材の壁面など、素材感が活きた内装なので、キッチンも木柄の貼りものやメラミン等ではなく、素材としてステンレスの質感が生きているものが空間に調和すると考えました。また、現在はいわゆる白物家電も黒などのカラーバリエーションが増えていますがステンレスなら違和感なくどちらでも合わせられる点も魅力です。
採用製品
金物パーツ|toolbox
株式会社TOOLBOX
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■採用製品:木のつまみ ミニサイズ 丸タイプ

造作家具に使用した木のつまみです。家具を設計するときに今までも何度も採用しています。デザイン的にかわいいですし、既製品ではありますがサイズ感も色も造作家具のデザインを邪魔しません。こういったパーツを一から作ると手間もコストも上がるので、とても重宝しています。
採用製品
天窓/日本ベルックス
日本ベルックス株式会社
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■採用製品:天窓 VS電動タイプ

『校舎裏の家』では天窓で採光を確保しています。熱は上に上がるので、逃げ口となるように電動で10~15cm位空くタイプを選択しました。雨を感知すると自動で閉まります。機能面が優れてるのはもちろんですが、意匠性が最終的な決め手になりました。屋内側の枠が木製で家の雰囲気にマッチして、他社にはない仕上げで魅力的です。
採用製品
内装用建材|AGC株式会社
AGC株式会社
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■採用製品:ツインカーボ® スタンダード ASマットクリア

『校舎裏の家』の寝室の建具に採用したポリカーボネートです。すりガラスのように光を通して、視線をぼやけさせる素材として使用しました。ぼかし方も表面の質感も各メーカーで様々なので、サンプルを取り寄せて比較し、ぼやけ方や近くで見た時の表面感がきれいなものを選びました。断熱性能もあり、ガラスより軽くわれないので建具として取り回しがしやすく、お子さんがいるおうちなどにもおすすめです。
採用製品
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