プロの住宅レシピ 床として成り立つ吹き抜け ~光と風が行き渡る校舎裏の家~
足立達哉・鍋島旦
『校舎裏の家』は建て替えで、南側に小学校の3階建て校舎、東西に隣家が迫るという環境でした。
大人同士の母娘ふたりの住まいということで、部屋数などよりも最優先となったのが、光と風が通り明るく暮らせる家にしてほしい、という環境的な要望でした。
そこでプライバシーを守りながらいかに自然光と風を取り込み、家中に行き渡らせるかということがテーマとなりました。
そのテーマを叶えるべく設計したのが2階のルーバー状の床です。居間を1階と2階の2層にわけ、校舎からの視線があまり気にならない2階の居間に、通常の窓に加え天窓を設けました。2階が光だまりとなり、ルーバーを通して1階まで降り注ぎます。一方で1階の南側の窓は、日中の校舎からの視線をカットするために、掃き出し窓ではなく、高さを抑えた躙り口にしています。小庭を校舎との間にクッションとして挟んだので、そこからも光は採れますし、2階から透過する自然光と併せて1階も閉塞感のない明るい居間になりました。
吹き抜けという選択もありますが床面積が減るので大きくとるのは難しいケースもあります。
床として成り立たせながら、風と光を通す方法として生まれたルーバー床です。
PHOTO:冨田英次写真事務所