プロの住宅レシピ 暮らしの中心 家族の動きが見えるキッチン
相川直子・佐藤勤
『埼玉の家』は父親と兄の2世帯住宅と隣接する住まいです。正対する形で建てるとお互いの生活が見えすぎて気づまりになる場面もあるかと思い、少し角度をずらした『くの字』型で家全体を設計しました。
平屋の部分と2階建て部分が『く』の中心部分でくっついたような形で、2階をそれぞれの個室とし、1階は広々と家族で過ごす場として設計しました。
1階は『くの字』の連続した空間として広がりを感じられるよう極力間仕切りを設けず、天井の仕上げを変えたり少し袖壁を出すことなどで場面を切り替え、エリアの境目がわからず居心地が悪くならないようにしています。
その連続した空間の中心に位置するのがキッチンです。家の形と反対の『くの字』型に少し開いたキッチンは玄関から家の奥までどちらの方向も見渡せ、家族の様子が把握できる司令塔のような場所です。ユーティリティースペース(家事スペース)をキッチンと連続する形で確保したので家の中を右往左往せずにその場で家事を完結させられます。家事をしていても孤立せず、家族の様子がわかり、効率的に家事を進められる空間です。
位置だけでなく暮らしの中心となる家族の真ん中のキッチンです。