プロの住宅レシピ みんなで料理するための家庭科室のようなキッチン
金子佳弘
『瀬戸上松山の改修』では「みんなで料理をする・キッチンを使う」ということを意識して設計を行いました。
だいぶ薄れてきた傾向とはいえ、料理は奥さん(お母さん)が担当で台所は奥さんの居場所というようなイメージがまだ生まれがちです。しかし、外で働く女性も多く、リモート勤務なども増えた現代の生活の中では、料理は家族の誰が担当しても良く、むしろ楽しみとしてキッチンに集まってご飯を作れるとよいな、と考えました。
そのために、人が集まることができ、汚れても掃除しやすく子供達も気兼ねなく使える1つの部屋としてキッチンを設計しました。学校の家庭科室のようなイメージです。
部屋の中央にカウンターがあるので、リビングに面したアイランドキッチンのようにリビング側に汚れが飛ぶ心配もなく、対面で料理のお手伝いをしたり、反対側から調理の様子を子供達が見ることもできます。
また焼き肉など匂いや煙が出るものは、テーブルのようにカウンターのIHを囲んで座って食事もできます。
他にも、誰でもどこに何があるか見つけやすいオープン収納にしたり、窓は庭の畑で取れた野菜の受け取り口にもなるなど、みんなで使えて、食を介して家族が集うキッチンです。