プロの住宅レシピ 自然の変化を室内に届ける中庭の水盤
中倉康介
『炙り丸太のコロネード』は幹線道路の近くに位置する住宅です。周囲の喧騒を避け、プライバシーを守るため、前庭ではなく中庭という選択をしました。
中庭に自然を感じられる環境を生み出し、その周りを囲むように各部屋を配置することで、家の様々な場所で中庭を通じて時間ごとの光の変化や、季節の移ろいを感じられるように意図しています。
その中庭の主役と言えるのが、水盤です。
庭に出た時に楽しめるだけでなく、自然光が反射して壁や天井に水面の影が映ったり、雨上がりには軒先から落ちる雫が水面を揺らして動きを見せるなど、自然の変化を室内へと引き込む役割を果たします。
また、水盤は循環ポンプを入れておけば比較的手入れの負担が少ないという利点もあります。『炙り丸太のコロネード』では当初、庭に築山を設けるプランもあったのですが、草むしりなどの作業が住まい手にとって負担になることが考えられたため水盤を採用し、落ち葉を時折すくって頂く程度で済むようにしました。
水盤はうまく使えば自然の様々な表情を引き出してくれる魅力的な装置です。家づくり・庭づくりを考える方の参考になればと思います。
PHOTO: Koji Fujii / TOREAL(1~4枚目), Kosuke Nakakura(5枚目)