プロの住宅レシピ 自然の変化を室内に届ける中庭の水盤

株式会社中倉康介建築設計事務所
中倉康介

水盤のある中庭。周囲の喧騒を避けながら、閉鎖的にならず外の自然の変化を感じられる。

水盤に石がせりだしており、その上に座ってゆっくり過ごすことができる。

炙り丸太 フローリング ダイニングチェア

室内から水盤のある中庭方向を臨む。丸太を用いて構成された室内は滑らかに連続した空間。

水面のゆらぎが天井に映る。室内でも自然の光の変化を感じながら過ごせる。

中庭の周りを囲むすり鉢状の屋根の軒先。雨上がりには軒先から落ちる雫が水面を揺らす。

『炙り丸太のコロネード』は幹線道路の近くに位置する住宅です。周囲の喧騒を避け、プライバシーを守るため、前庭ではなく中庭という選択をしました。
中庭に自然を感じられる環境を生み出し、その周りを囲むように各部屋を配置することで、家の様々な場所で中庭を通じて時間ごとの光の変化や、季節の移ろいを感じられるように意図しています。
その中庭の主役と言えるのが、水盤です。 庭に出た時に楽しめるだけでなく、自然光が反射して壁や天井に水面の影が映ったり、雨上がりには軒先から落ちる雫が水面を揺らして動きを見せるなど、自然の変化を室内へと引き込む役割を果たします。
また、水盤は循環ポンプを入れておけば比較的手入れの負担が少ないという利点もあります。『炙り丸太のコロネード』では当初、庭に築山を設けるプランもあったのですが、草むしりなどの作業が住まい手にとって負担になることが考えられたため水盤を採用し、落ち葉を時折すくって頂く程度で済むようにしました。
水盤はうまく使えば自然の様々な表情を引き出してくれる魅力的な装置です。家づくり・庭づくりを考える方の参考になればと思います。

PHOTO: Koji Fujii / TOREAL(1~4枚目), Kosuke Nakakura(5枚目)

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採用されている製品

炙り丸太|宮本建築
株式会社 宮本建築
株式会社中倉康介建築設計事務所
中倉康介
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■採用製品:炙り丸太

炙り丸太は国産の磨き丸太の表面を炙り、1本ずつ表面をブラッシングして余計な炭を落とすという手作業で作られている建材です。木目を際立たたせ、化学塗料を使わずに和モダンでシックな色味を出すことができます。表面を炙ることで、耐久性や耐食性も上がります。最終的にクリア塗装を行うので、手や衣服に墨の汚れがつくことはありません。 『炙り丸太のコロネード』を設計する際に大工さんと相談し、試行錯誤を繰り返しながら仕上げて頂きました。手法が確立できたので、今は製品として採用して頂けるようなった建材です。実物を見るととても魅力的な風合いがあり、丸太を見せて空間づくりをしたい方におすすめです。
採用製品
木材・建築資材|アトムカンパニー株式会社
アトムカンパニー株式会社
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中倉康介
ここが私の評価ポイント!
■採用製品:フローリング(特注品)

『炙り丸太のコロネード』では鉄媒染という手法で染色したオークのフローリングを採用しました。鉄と木材に含まれるタンニンを反応させて黒く染めるので、木の各部分に含まれるタンニンの量によって色の濃淡が生まれます。フローリングを全体に貼ったときに、均一で平坦な印象を与えず、自然な風合いが感じられるところが魅力です。
採用製品
株式会社中倉康介建築設計事務所
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■採用製品:The sensual ladder back armchair

施主の方の要望に合うものを探して、一緒にいくつものショールームを訪ね、座り心地を比べて採用したダイニングチェアです。 木脚で座り心地が良くクッション性のある座面で重すぎない椅子、という条件で探したものです。 Time & Styleさんは日本の職人技を大切にしているブランドで、木の削り出しなども丁寧で美しく仕上げられています。実際にアーム部分の厚みなどを見ると、かなり太い無垢材が使用されており、質の高さとものづくりの技術が感じられます。
採用製品
株式会社中倉康介建築設計事務所
中倉康介

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