プロの住宅レシピ 影をデザインする ~空間の質を高めるアール~

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大縄 順一

天井の一部を一段高く仕上げた折り上げ天井。天井の入隅(※注1)・デザインの出隅(※注2)部分にアールをつけて、間接照明を配し、影と光をコントロール。

壁面のコーナー部分にアールをつけた室内。光や空間を滑らかに繋げるのに加え、生活の中で角にぶつかって欠けるというアクシデントを防ぐ効果も。

仕上げ材

どこに影を作り、どこの影は消すか。壁や天井のラインの取り方、光の落とし方、素材選びで影をデザインする。

寝室もコーナー部分にアールをつけて光の回り方、影の出方をデザイン。落ち着いた雰囲気のある空間に。

タイル

部屋だけでなく、洗面室など水回りのタイルもコーナー部分は面取りをして鋭利な角の部分は無くしている。そのためには削っても断面が美しいタイルを選択するのが必須。

私は空間を設計する中で、影をデザインするということを大切にしています。影により立体感や深みが生まれ空間の質・性格を作り出していくと考えているからです。
それと同時に不要な影がノイズにならないよう消していくということも必要で、自然光の入り方や照明の種類、配置など光について計算してデザインしていきます。また、陰影は光が対象物に当たって生まれる物ですので、対象となる壁や天井などの素材・質感の選び方も影をデザインするうえでの重要なポイントとなります。

そのような光と影の巡り方を考えて、私の設計のほとんどで、壁や天井の2面が接する箇所は角そのままではなく、アールをつけた(角をとって丸くした)ものにするという手法をとっています。
直角(もしくはその近似形)の角では影も光もそこで途絶してしまいますが、丸みを持ったコーナーにすることでそれらが回り込み、柔らかな陰影を生み出すとともに視線や空間をその先へと繋げていくことができます。
また、人の動きを考えたときにも角はぶつかることがある場所で、尖っていると欠け易くなります。そういった意味でもアールをつけることは理に適っています。
細かいようですが大切な部分にこだわることで空間の質、居心地の良さは変わると考えています。

※注1※入隅:(壁や天井など2つの面が出会うところの内側のへこんだ角)
※注2※出隅:(壁や天井など2つの面が出会うところの外側の出っ張った角)

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採用されている製品

MORART|フッコー
株式会社フッコー
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大縄 順一
ここが私の評価ポイント!
■採用製品:MORART(モラート)

柔らかい光の陰影が生まれる質感のとても良い特殊セメントモルタルです。製品の品質の高さに加えて、メーカー指定の施工者による左官工事が必要なので、費用はかかりますがその価値はある仕上げ材です。予算が合う際は採用しています。
採用製品
タイル/RIVIERA TERRA
リビエラ 株式会社
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大縄 順一
ここが私の評価ポイント!
■採用製品:CONCEPT (セラミックタイル)

製品のクオリティが高いのはもちろん、在庫が豊富で安定供給されているところも安心して採用できるポイントです。タイルなどは急に在庫切れになったり、頻繁にラインナップが変わるメーカーも多いので、必要な時にきちんと手に入るというのはとても大きなメリットです。施主の方とギリギリまでタイルの選定で迷うこともあるのですが、リヴィエラなら大丈夫と信頼しています。
採用製品
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大縄 順一

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