プロの住宅レシピ 棚で作る回遊動線 アトリエが隣り合うリビング
谷口 智子
リビングとアトリエが隣り合う住まい。
さほど広くない空間のため、リビングとアトリエを壁ではなく収納棚で間仕切ることで、狭さを感じさせず、心地よい空間になるよう設計しています。
壁の役割をする棚の天井部を開けることで、2つの空間がつながり、視覚的に広がりを感じます。また、空気が循環するよう配慮しました。
収納棚には、お施主様が大切にされてきた薬箪笥を活用して製作。リビング側には生活雑貨や本など、お施主様のお好みのものを飾る「見せる収納」に。裏側にあたるアトリエ側の扉付き収納には、器材や材料をしまえる「見せない収納」にし、白い扉には写真やスケッチを貼るなど、インスピレーションを刺激します。
さらに、収納棚を梁に固定することで、地震などによる転倒を防ぐ設計を施しました。
また、一階の各部屋に小窓を設けてつなぐことで、空気が循環し、北側の部屋の閉塞感もなくなるので、家全体の快適な住環境が維持できます。
限られた空間の中で、住空間とアトリエ空間のバランスを保ちながら、心地よく暮らせる住まいとなりました。