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okuwada(奥和田健建築設計事務所)

大阪と東京を拠点に活動しております。
根本的な美しさ
その構成を細かなところまで考え
同時に時代と社会を見つめながら
空間が存在する意味を問い続けています。


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作品集

物件

■ Lの敷地の住宅

今回の敷地は大阪市内。
建主はL型の敷地を用意していた。
繁華街に近く、オフィスや高層・ 低層の住宅と共に、戦時中に焼失を免れた町家も残っている地域だ。

道路を挟んで向かい側にも路地があり、地域住民はその路地を使い生活をしている。
この向かいの路地から道路、そして敷地の端からLの折れ点、さらに端部へと歩いていくと、その節々ごとの都市風景を見ることができた。

細長い敷地は、同じ面積の敷地と比べて、端から端まで移動できる距離が長く、移動を楽しむことができる。これらの都市風景の断片を、外部へ透過させながら内部に入れ込むと、このLの敷地の個性が増幅すると考えた。

そして、建主も外でのアクティビティを嗜む方だったこともあり、生活の中で触れる「外」を豊かに 感じられるように、家の構成を考えていった。

 

建主が持つ生活を整理しながら、それぞれに必要な最低限のヴォリュームを単純な矩形に整える。そして敷地と照らし合わせ、矩形を組み合わせて営み同士の関係性を考える。

今回の建主の家族構成は単身。寝食と寛ぐためのヴォリュームのほかに、建主の趣味である自転車の収納・整備のためのピット、室内に入る前にアクセスができるシャワールームのヴォリュームが必要であり、それらを繋ぐと、少し細長い矩形になった。

これをL型の敷地に合わせて引き伸ばし機能の境目でぽきっと折り、その折れ目を開かれた「外」にした。すると、内部空間はふたつに分かれ、向かいの路地から前面道路、家の中へと「外 → 内 → 外 → 内 → 外」と移動していくことになる。

その内外の切り替わりと生活の機能を対応させ、生活の場を整えた。

 

 

PHOTO: 山田圭司郎 YFT (1,4,6,7枚目)/ 高橋菜生 (2,3,5枚目)

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プロの住宅レシピ

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■ 素材の切り替えで生み出す心地よい居場所

自分の『居場所』というと、壁や建具で仕切られた『部屋』のこと、と思われる方も多いです。しかし、実はこの2つは別のものです。
家族や単身で暮らす場合には、心地よい居場所づくりに壁や建具といった空間を途切れさせるものは必ずしも多く必要ではありません。
『十七月の住居』は、壁や建具を極力減らし、全体を大きな一つの空間として構築しました。その中で床や天井の素材使いに変化をつけることで、緩やかにエリアを分けた住まいです。
フローリングとコンクリートスラブというように床の素材を切り替えたり、天井もエリアの境目でシナ合板に切り替えることにより、壁で区切らなくとも空間の役割が変わったことが感じられ、ここまではキッチン、ここまでは廊下、ここまでは自分の居室と認識できます。これが、全て同じ素材だと、どこまでがそれぞれのテリトリーかがわからなくなり、なんだか落ち着かない、居場所がない、という感覚になってしまいます。
このように、暮らす中で自然に感じとれるような素材の変化を仕掛けることで、住空間を細かく分断させずに心地よい居場所を生み出すことも可能です。

PHOTO: 山田圭司郎 YFT