プロの住宅レシピ 素材の切り替えで生み出す心地よい居場所

okuwada(奥和田健建築設計事務所)
奥和田健

床と天井の素材が変化して、ゆるやかに空間の役割を分ける。素材の切り替えでパブリックなゾーンとプライベートなゾーンが認識できるので、閉め切らなくとも自分の居場所が生まれる。

照明器具 照明器具

建具や壁は無くとも領域が切り替わる。家の断熱性能や冷暖房器具の性能も向上しているので、狭く部屋を閉め切らなくても十分対応できる。

照明器具

廊下と部屋の緩やかな境界。庭から差し込む外光がそれぞれの素材感を際立たせる。

空間によって床材が使い分けられていることがわかるロフトと下階フロア。

スラブの廊下とフローリングのキッチン。

自分の『居場所』というと、壁や建具で仕切られた『部屋』のこと、と思われる方も多いです。しかし、実はこの2つは別のものです。
家族や単身で暮らす場合には、心地よい居場所づくりに壁や建具といった空間を途切れさせるものは必ずしも多く必要ではありません。
『十七月の住居』は、壁や建具を極力減らし、全体を大きな一つの空間として構築しました。その中で床や天井の素材使いに変化をつけることで、緩やかにエリアを分けた住まいです。
フローリングとコンクリートスラブというように床の素材を切り替えたり、天井もエリアの境目でシナ合板に切り替えることにより、壁で区切らなくとも空間の役割が変わったことが感じられ、ここまではキッチン、ここまでは廊下、ここまでは自分の居室と認識できます。これが、全て同じ素材だと、どこまでがそれぞれのテリトリーかがわからなくなり、なんだか落ち着かない、居場所がない、という感覚になってしまいます。
このように、暮らす中で自然に感じとれるような素材の変化を仕掛けることで、住空間を細かく分断させずに心地よい居場所を生み出すことも可能です。

PHOTO: 山田圭司郎 YFT

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採用されている製品

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奥和田健
ここが私の評価ポイント!
■採用製品:テーブル照明 MAYDAY ホワイト

引っ掛けて使用できる照明器具で、コンセントを挿せば使えるので持ち運んで好きな場所で使用できます。置いて使用することも可能です。同じFLOSの製品で『十七月の住居』に採用したCamouflageとは対照的に、こちらは存在を主張するデザインの照明器具です。
採用製品
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ここが私の評価ポイント!
■採用製品:Camouflage 140

『十七月の住居』の廊下や浴室に採用した照明器具で、質感と照度が気に入っています。光が直接前面を照らすのではなく、壁をふんわりと優しく照らし出します。壁の色と合わせて選択すると、壁と同化して光だけがそこにあるような雰囲気が生まれます。
採用製品
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ここが私の評価ポイント!
■採用製品:ペンダント照明 OK ブラック

「Parentesi(パレンテージ)」という名作照明器具があるのですが、その作品へのオマージュとしてドイツのデザイナーのコンスタンチン・グルチッチがリデザインした照明器具です。「Parentesi」に現代的な解釈が加わったデザインのLED照明で、上下と横方向360度自由に動かして、照らすことができ、使い勝手も良好です。
採用製品
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