■ 弱点をチャームポイントに おうちの空間に色を付ける階段
『ouchi house』は縦長の敷地に建つ、築古の戸建てリノベーションです。外観は「おうちの絵を描いて」と言われてイメージする形そのもののようなプロポーションでした。
リノベーションのプランをたてる中で、ポイントとなったのが階段の位置です。家の真ん中に位置する階段は、ともすれば空間を分断する邪魔な存在として欠点になってしまいます。しかしシンボリックなデザインにすることでこの家の魅力に変えてしまおうと考えました。かわいいものが家の真ん中にポコッと挿入されたように現れて、その階段や、階段下を介して別の空間に行ける、そんな存在になるように意図しました。
階段に採用したブルーグレーは施主こだわりの選択です。また、階段の開口部分は外観ともイメージがつながる『おうち型』にしました。目線が抜けるだけでなく、子供たちが顔をのぞかせたり、好きなキャラクターを飾ったりと楽しめます。もともと奥様がお好きな形だったので時計やゴミ箱などインテリアもおうち型で統一されました。
このような遊び心も加えて階段がただの空間を分断する移動のための場所ではなく、居場所や遊び場としての存在意義も持ちました。空間に1つの用途だけでなく他の魅力を加えることで楽しみが増え、生活の豊かさにつながると考えています。
PHOTO:Yohei Sasakura