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森村厚建築設計事務所

目黒区駒場にある建築設計事務所です。和風住宅や和モダン住宅などを得意にしています。


住所: 東京都目黒区駒場1-26-26

TEL : 03-3468-0544
E-mail :m-archi@coral.ocn.ne.jp
URL : http://m-archi.sakura.ne.jp/

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簡単な法的調査や、敷地への同行もおこなっています。

作品集

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■ 重くて遠い家

 重くて遠い家は、朝日放送の「大改造!!劇的ビフォーアフター」から出演依頼を受けて設計した住宅です。敷地へは人は歩く事ができるが、車の入る事が出来ない急勾配の細い坂道を登ってアプローチします。この敷地条件では、生活するのも、工事するのも大変ですが、視点を変えると風がよく通り、眺めがとても良い敷地でした。

 

 既存の住宅は、築50年。木造の平屋で床の間の付いた続き間の横に、縁側が付いている昔ながらの間取りの木造住宅でした。家族3人の住まいとしては広さも十分でしたが、老朽化により雨漏りや隙間風が発生していました。また、洗面スペースや脱衣スペースもなく、間取りの古さが今の生活スタイルに合わなくなっているというプラン上の問題も抱えていました。

 

 老朽化による不具合を修理しながら、現代のライフスタイルに合わなくなった住宅を、土間などの日本の空間や漆喰などの日本の素材を使って、再生することにしました。

 

まず、南側の続き間と無駄のある縁側を繋げて一つの部屋としました。さらに、天井を撤去して、天井裏にあった丸太の梁や垂木を室内に見せる事にし、開放的なワンルームの大きな空間をつくりました。床には厚さ2センチのパイン無垢フローリングを貼り、壁は高知の漆喰を塗りました。居間の上部には屋根裏の余ったスペースを利用してロフトスペースを設け横長の窓を取り付けました。この窓からは、山の頂上にいる様な景色が眺められますが、それ以外にも夏場居間やロフトに溜まった熱い空気を外へ排気し、家の各窓からは、涼しい風を取り入れる煙突の様な役割もはたしています。

 

キッチンカウンターと一体となったオリジナルのダイニングテーブルは、居間側からは座って使用し、キッチン側からは立って使用します。キッチンは裏庭に直接接しており、キッチン廻りのゴミを出したり、布巾などを外に干したりする事ができます。大きなリビングダイニングの中にキッチンがある為、調理中でも孤立することがなく、快適な空間となっています。キッチン前面の壁は、伝統工芸品である江戸唐紙を貼りその上にガラスをはめ込んでいます。

 

リビングの主庭に面した窓には、以前縁側に使用されていた障子を再利用しました。ロフトスペースに上がる為の階段は、伝統的な箱階段にしました。箱階段の収納は、リビング廻りの雑物が収納しやすいように細かく分かれています。

洗面所の扉は既存の建具再利用、欄間の透かし掘りも既存建具の再利用です。

寝室・子供部屋は、家具自体が可動し間仕切り壁になる様に設計しています。

畳の小上がりのある書斎は、庭に面しており、窓には手すりにもなる花台を設置しています。

裏庭に面した浴室は、ユニットバスにはせずに、在来工法で作りました。壁はひのき材でつくり、床には御影石を用いました。

 

 耐震補強に関しては、地盤が不安な場所は家自体をジャッキで持ち上げて基礎を作り直しました。それ以外の基礎は、鉄のプレートをギブスの様に基礎の側面に取り付けて補強しています。既存の建物の南側は、開口部が多すぎたので耐震壁を作ってバランスを良くしています。

 

外壁には、コストを抑えるためにサイディングを貼り、その上に吹付をしています。また、一部は日本の伝統的な材料である焼杉を貼りました。

雨漏りに悩まされていたトタン屋根は、カバー工法を使い新しくカラーガルバリウム鋼板を使用した屋根に作り変えられました。

 

細い急な坂道の奥にある、眺めと風通しが良い和モダン住宅が出来上がりました。

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プロの住宅レシピ

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■ 機能とデザインを使ったその人のためのバリアフリー

『地の家』は脚が不自由で車いすを使用するご主人の暮らしを考えたバリアフリー住宅です。
バリアフリー住宅というと機能が優先され、デザインや住む人の好みが置き去りになりがちです。
しかし、一口に車いすでの生活と言っても暮らし方や体の状態が異なりますし、住みたい家も人それぞれです。『地の家』は画一的なバリアフリー住宅ではなく、その人のための家づくりということを大切に考えて設計しました。

まずはその当時の住まいや暮らし方、好きな空間など、お話をよく伺いながら把握していきました。
すると、好みは和風住宅、屋外・屋内で車いすを乗り変えるので玄関にスロープは不要、屋内では車いす移動時に足載せやハンドル部分が壁にぶつかって傷がつく場合があることがわかりました。
そこで玄関は車いすが入る広々とした空間の土間スペースにし、幅の広い引き戸のレールを埋め込んで段差を無くし、滑りにくく丈夫な敷瓦を床材に選択しました。
室内の壁にはナラ材のガードを上下2列で設置し、車いすの足元とハンドル部分がぶつかっても傷が気にならないようにしました。上のガードは将来的に手すりを設けた際に手が繰り返し壁に当たることへの対策も兼ねています。他にもLDKの小上がりを通常より高い45cmに設定し、車いすから乗り移りやすくしています。
このような小さな工夫を積み重ね、必要な機能と自分の好みを両立させた家での暮らしを楽しんで頂ければと考えています。