プロの住宅レシピ アートの色彩を空間に取り込む、上質なリビング空間
米田 匡志
「抽象画を飾りたい」というお客様のご希望からスタートしたLDKは、アートと空間が調和するように設計しています。
お客様の抽象画の色彩をヒントに、グレーの落ち着いた空間を基調とし、部分的にブラックやブラウンを建具や家具に取り入れました。アートから色彩を抽出することで、調和しながらもアートが映えます。
また、すだれを組み込んで造作した簾戸と呼ばれる建具により、空間の雰囲気を壊さずにさりげなく和の要素を取り入れ、アクセントとしました。すだれからはLDKと和室の空気が程よく共有され、適度な音や空気の動きが感じられます。和室にも閉塞感がなくなり、安心感が生まれます。
キッチンでは、コンロや空調など見せたくないものはすべて、キッチン背面収納にまとめました。視覚的なノイズをなくすことで、全体の美しい統一感を損なわないようにしています。
アートを中心に据えることで、美しく心地よい空間が完成しました。
Photo :河田弘樹