プロの住宅レシピ 心地よいリズムが生まれる、廊下のある住まいの魅力

森川 洋平・森川 夏子
この住まいは、外に開くのではなく、内部で心地よく広がるように設計しています。
近隣には飲食店があるなど、賑やかな場所にありますが、住まいの中に作る余白の設計や、間接的な光の取り込みを工夫することで、外の喧騒から離れた落ち着いた空間となっています。
最近では、廊下を省く設計も増えていますが、この住まいではあえて長い廊下を採用しています。玄関から続く屋外の廊下は、中庭、リビング横を通り室内へと向かいます。リビングやダイニングの横を歩くことで家族の気配が感じられ、仕事モードからくつろぎの空間へと気持ちを切り替えてくれます。
庭を囲むように建物を配置することで、リビングとプライベートエリアをしっかりとゾーニングしています。
広い敷地を活かした中庭では、直接外と内をそのままフラットに繋げるのではなく、アプローチやベンチを兼ねたテラスを設けることで、家族がふと集まって話をしたり、ゆったりと庭を楽しめる大切な「余白の空間」となりました。
建物の配置や角度により、光を直接入れるのではなく間接的に室内に届けることで、穏やかで柔らかな光が住まい全体に広がります。
平屋ならではの贅沢な空間の使い方は、日常の忙しさから解放され、家族や親戚が自然と集まる温かい住まいとなりました。
Photo : Yuko TADA