プロの住宅レシピ 青空に上る家
長谷川順持
この家は1階に親世帯、上階に子世帯が住む2世帯住宅です。子世帯は玄関から階段を上るのが毎日のことになるので、それが苦にならない楽しみをつくりたいと考えました。
そこで考えたのがこの空へと繋がっていく階段です。この階段は玄関から北側の空へと開かれた窓に向かっています。南側の空はハレーションで白くなってしまいますが、北側の空は青いのです。青い空へ向けて階段を上りきると街並みを眺めることができ、お子さんが毎日窓辺で楽しんでくれているようでした。1階の親世帯からは階段を行き来する子世代のシルエットが淡く見えるようにして、ただの通路ではなくお互いの気配を感じられる程よいコミュニケーションの場として機能するようにしました。
階段のように機能的に必要な場所でも、家づくりの際によくその土地や周囲のことを知って考えていくことで生活の質を上げてくれるような場所として創っていくことが可能です。