プロの住宅レシピ 床材の選択肢が広がる「低温水式床暖房」のエコハウス

一級建築士事務所 光設計
栗原 守

西川材の杉が大好きというお施主様の希望を叶えた、木の香りいっぱいの空間。

無垢フローリングで床暖房を入れたいという時、意外と対応しているフローリングは少なくコストも高くなりがち。しかし、無垢フロが使える床暖房という逆転の発想で、使いたい木種を使えます。

うらら (温水式床暖房)

施工中の様子。床の表面温度が24℃~29℃と低いので、長時間座っていても肌との接触面が体温を超えることがありません。明るく温かい木の家を望むお施主様に提案している、設計の心強い味方です。

温水の通る配管は銅、放熱パネルに使われているのはアルミです。耐久性があり、資源の回収価値が高い為『住み手にも地球にも優しいエコ住宅』にふさわしい設備です。

お施主様から「素足で床の感触を楽しむたびにこの離れを作って良かったなとつくづく思った」と嬉しい声をいただけたのも、「うらら」のなせる業です。

エアコンと違ってハウスダストが舞わず、快適なぬくもりをもたらす床暖房。新築やリフォームを機に採り入れたい方も多いでしょう。ただし、一般的な温水式床暖房では循環水の温度が65~80℃になるため、高温でも反ったり歪んだりしない「床暖房対応」のフローリングしか使えないという制限があります。

いっぽう、この「うらら」(富士環境システム)の循環水の温度は40~55℃と低め。本物の無垢の木でも反りや歪みが出る心配がなく、床材の選択肢が大幅に広がります。スギやマツ、ヒノキなどの針葉樹でも、サクラやオークなどの広葉樹でもOK。木目や色合い、肌触り、質感などが好みの樹種を自由に選べて、床暖房対応フローリングよりコストを抑えることもできます。

ここでご紹介した事例は「うらら」と無垢のスギ材の組み合わせ。「床を無垢材にしたいけれど、床暖房は無理ですか?」というご相談に応えてご提案しました。スギ材は柔らかく、冬はあたたか、夏はさらっとした質感を楽しめます。給湯器の大きさも通常の住宅で設置されるものとほぼ変わりません。写真5枚目の右が「うらら」の給湯器、左がエアコンの室外機です。この設置場所さえ確保できれば、新築はもちろんリフォームでも「うらら」を採り入れることができます。

内装材の中でも、床は壁や天井と違い、直接肌に触れる部分です。ぜひ床暖房の快適な温かさとともに、本物の木のぬくもりを感じてほしいと思います。

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採用されている製品

低温水式床暖房【うらら】|富士環境システム
富士環境システム株式会社
一級建築士事務所 光設計
栗原 守
ここが私の評価ポイント!
「低温水の床暖房って温かいの?」と思われるかもしれませんが、「うらら」には低温水でも温かい理由があります。1つは配管に熱伝導率の高い銅を使っていること。一般的な床暖房で使われるポリエチレンの1000倍も熱を伝えやすいため、低温でも効率よく温めることができます。

さらに温水管が2倍以上も太く、放熱パネルが温水管をぐるりと包み込む構造なのもポイント。床全体がくまなく温まり、低温やけどの心配もありません。このように、エネルギーを無駄なく活用できること、住む人の体に優しいことも、エコハウスに最適な特長だと思います。
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一級建築士事務所 光設計
栗原 守

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