プロの住宅レシピ マンションの和室を、遊び心溢れる子ども部屋へ!

もともと一戸建ての注文住宅を希望されていたご家族。しかし、予算や土地の問題から、マンションを購入しリノベーションすることになりました。ご夫婦と3人のお子さんの5人家族にとって、一般的な3LDKの間取りでは部屋数が足りず、子どもたちの居場所をどのようにつくるかが課題でした。
そこで、LDKから続く和室を子どもたちのための特別な居場所へとリノベーション。平面的に部屋を区切るのではなく、空間を「上下」に活用し、まるで隠れ家のような二段ベッド風の子ども部屋としました。二段ベッドのような造りにすることで、限られたスペースの中でもそれぞれのプライベート空間を確保。寝具のほか、小さな机なども持ち込めるため、子どもたち自身が工夫しながら、自分だけの空間をつくり過ごしています。
LDKからつながる子どもたちの居場所には、多少の小上がりを設けることで、空間としては一体感を持たせつつも、心理的な境界が生まれる設計に。これにより、プライベートな空間を確保しながらも、家族の気配を感じられる空間となっています。手前のスペースは自由に使える場所として、家族それぞれが思い思いの楽しみ方を見つけています。
今回のリノベーションでは、マンションでありながらも、木造住宅のような温かみを感じられる住まいとなるよう、素材選びにもこだわりました。 以前の和室が持つ雰囲気を活かし、建具には十字の杉の柱と梁を設け、和紙を使った造作の扉を採用することで、日本家屋のようなデザインを取り入れています。また、天井や壁にはラワンベニアを使用し、奥行きのあるナチュラルで落ち着きのある空間に仕上げました。
扉の開け方や灯りの使い方によって、和紙から浮かぶ表情の変化も、この住まいの魅力のひとつです。
この住まいでは、限られたマンションの間取りの中で、個室を作るのではなく、子ども部屋のスペースをリビング側に提供する設計にすることで、住まい全体の一体感を大切にしました。
子どもたちも自分の居場所を工夫しながら楽しく過ごせる、遊び心あふれた空間となりました。