プロの住宅レシピ 可変する軒と長い土間をもつ玄関

塚野建築設計事務所
塚野 琢也

深い軒を持つ玄関。玄関扉を抜けると長い土間が庭までつながる。

土間に置いた踏み石もはフローリングの端材で作ったもの。

室内から見た玄関。天井部は開けることで光や風が通り、開放感を損なわれない。

来客の際は障子を閉めることで、玄関からの視線を遮ることができる。

書斎スペース。子どもたちが昆虫を観察する場所にもなっているのは、屋外とつながるワークスペースならでは。

この住まいは、細長い敷地の特徴を活かし、深い軒と玄関から庭へとつながる土間空間を取り入れました。
建物の南側には、1.8メートルの深い軒を設け、その下に玄関や土間、書斎を配置しています。
細長い敷地と、建物の外に庭までの通路を確保することが難しいという環境から、「住まいの中に道をつくる」発想で、玄関から庭へと直接アクセスできる土間空間を設計しました。さらに、その道中に書斎を設けることで、屋外とつながるワークスペースとなり、デスクワークはもちろん、外仕事の作業や、お子様の趣味スペースとしても使える、室内の書斎とは違った可変性のある空間となっています。
また、ひとつの空間に玄関・土間・LDKが備わるため、玄関正面には障子の引き戸を採用しています。玄関を入るとすぐにLDKが広がる間取りも、ワンクッション設けることで、来客時もプライバシーが確保でき安心です。

そして特徴的な深い軒は、主屋と構造的に分離した設計にしています。将来的に用途が変わった際には、土間部分を撤去して奥を増築したり、異なる用途に作り変えることも可能です。
限られた敷地と条件の中で、空間を最大限に活用し、将来的な住まい方の変化にも対応できるフレキシブルな住まいです。

Photo : 鈴木亮平(​DailyLivesNiigata)

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