プロの住宅レシピ 斜めにつないだリビングとダイニングで、豊かなくつろぎの時間を

小学生のお子さん2人を擁するファミリーのための住まいです。海に近いロケーションで、敷地の一角には離れ小屋を計画。ご趣味であるカヤックの収納や、コーヒーの焙煎を楽しむための場として活用されています。
メインとなるリビングダイニングは、斜めの位置関係でレイアウト。たんなる長方形のワンルームではなく、各スペースにほどよい独立性をもたせたことで、それぞれの居心地のよさが高まりました。
ポイントは視線の角度に変化がつくこと。室内すべてを見渡せるのではなく、見え隠れするスペースがあることで、例えばリビングが散らかっていてもダイニングからは目に入らず、くつろぎ感が損なわれることがありません。その一方で家族の声や気配は届くため、同じ空間にいるという安心感も得られます。
特に子育て中のファミリーにとっては、どうしても散らかってしまうリビングダイニングをさりげなくゾーニングできる、姿は見えなくても声や気配で子どもの様子を見守れるなど、メリットの多いプランと言えるでしょう。
フロアの中心には階段を配し、その周りをぐるぐる回れる回遊動線をプランしました。キッチンからサニタリーへ直行できることで、生活動線も家事動線もスムーズに。階段下をトンネルのようにくぐれるようにしたことで、この動線を実現できました。
玄関からサニタリーへ向かう途中には、ランドセルや本、生活用品などを収納できるオープンシェルフを造作。離れた収納スペースまでわざわざ足を運ばなくても、帰宅してすぐに荷物を片づけられて、リビングやダイニングの散らかりを無理なく防げます。
中庭に面した掃き出し窓の頭上は、ルーバー状の天井に。吹き抜けと違って2 階の生活面積が広がり、空調の冷気・暖気を上下階で循環させる役割も果たしています。このお宅ではルーバーの上を物干し場に。窓際で風通しがいいため室内干しにはぴったりです。
多彩なご趣味のための離れ小屋から、日常の動線、収納計画まで、お施主さまと具体的な暮らしのイメージを共有することで、楽しさと便利さ、快適さを併せ持つ住まいが完成しました。
写真:Daily lives niigata