プロの住宅レシピ 落ち着けるトイレの条件は、リビングからの距離感がポイントに

高橋良彰建築研究所
高橋良彰さん

洗面室の中に設けたお手洗い。左の引き戸奥がトイレ室。

トイレ室と洗面室の2つの入口に扉を設けることで、リビングに人がいても音が気にならず気楽に使用できる。

無垢フローリングと白を基調とした明るい洗面室。写真右奥の扉がトイレ室。

写真左:ダイニング側から洗面室をみる。
写真右:階段を降り、廊下突きあたりの右がリビング、左が洗面室。

施主様が選んだタイルの表情がかわいい洗面台。

このお宅のトイレは、廊下からいったん洗面室を経由しなければ入れないように計画されています。あえて動線を長くしたのは、お施主さまからのリクエスト。もともとは廊下に面したトイレの入口を計画していましたが、「使用中の音が気にならないように、リビングからもっと距離を取りたい。できれば扉2枚を開け閉めしてから入れるようにしたい」と要望されたのです。

生活動線は短いほうが便利なケースが多いのですが、リビングからトイレへの動線だけは、あまり短いと音が気になる、トイレに出入りする姿がくつろぎの場から見えると落ち着かない、などのデメリットが生じることに。

対策として、トイレの前に手洗いスペースなどの前室を設ける手もありますが、床面積が限られた家では難しいことも。そんなときに有効なのが、このように洗面室を経由してからトイレに入るプランです。前室を設けるより省スペースで、リビングとの間が洗面室の扉+トイレの扉で二重に仕切られているため、心理的な安心感もあります。

このプランで注意したいポイントは、ゲストに使ってもらうとき、かならず洗面室に案内しなければならないこと。特に脱衣室を兼ねた洗面室の場合は、生活感の伝わりやすい洗濯物などがゲストの目にふれることもあります。

「事前に片づけるから大丈夫」「親しい人しか招かないから気にならない」と考えるかたなら、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。洗面室経由のトイレは私の自宅でも採用していますが、日々そのメリットを実感しています。

写真:Daily lives niigata

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