プロの住宅レシピ 坂の上、家族の未来を包む自由な住まい

森田信太郎・森田ひかり
傾斜地かつ、細長い敷地に建てられたこの住まいには、夫婦+子ども4人の6人家族のにぎやかな暮らしがあります。
素材の使い方や、床の高さをずらすことで、空間ごとに違った表情があり、自然とリズムが生まれていますがどこにいても家族の気配が感じられる設計になっています。
一番低い場所の天井高は1.4メートル。秘密基地のようなスペースは、小さなお子さんが思いきり遊べる場所であり、将来的には収納や寝室など別の使い方も可能。ごろんとくつろげる小さな畳の部屋や、みんなで作業や勉強ができる大きな作業台を配した廊下など、家族それぞれの過ごし方に寄り添う空間をちりばめました。
空間を無理に区切らず、スキップフロアでゆるやかにつなげる構成にしたことで、通常はネックとなる細長く、かつ高低差のある特徴的な地形を最大限に活かすことができました。
家族の成長とともに、柔軟にかたちを変えていける——そんな自由で心地よい住まいが、坂の上に静かにたたずんでいます。
写真:中山保寛