プロの住宅レシピ 深呼吸する住まい──緑とつながるLDK

YIA イシウエヨシヒロ建築設計事務所
石上 芳弘
外壁材

落ち着いたグレーの外壁が内外をやわらかくつなぎ、静けさと開放感を演出。 お施主さんのご意向で、外観はシャープなキューブ型で端正な佇まいに。

格子状に組まれた庇は、影の動きをデザインに取り込み、葡萄棚としても機能。蔦が絡まり、光と緑の表情が時間とともに変化する、育つ建築要素として計画された。

タイル床と自然素材の天井が屋外とのつながりを生むLDK。キッチン収納を扉で閉められるようすっきりとまとめ、来客時に隠せる工夫も。空間の清々しさと実用性を両立。

カーペット

青いウールのカーペットが、足元に柔らかな高級感を添える。テレビ下はすべて収納とし、お施主さんの憧れのヘリンボーン床が空間全体を上品に引き締めている。

裏手に広がる田園風景が視線の先にゆるやかに続いていく。蛙の声が聞こえる夕暮れ、リビングから眺める景色は、まるで大草原に包まれているかのよう。

愛媛県松山市の郊外、奥に田園風景が広がり、夏には蛙の鳴き声が響くような静けさに包まれた土地に、4人家族の住む住宅が佇んでいます。

多忙な日々を送るお施主さんが求めたのは、どこかで深呼吸できるような“癒しの住まい”でした。
以前はリゾートホテルで過ごすことでリフレッシュを図っていたそうですが、この住宅に暮らし始めてからは、「すぐに家に帰りたくなるようになった」と話します。

住宅計画で最も重視したのは、リビングの開放性と“緑に囲まれる感覚”。 建物を三つの箱に分けて配置し、その間に雑木の庭を育てる構成としました。タイルの床と自然素材の天井が、まるで庭と地続きのような開放感を生み出しています。

ソファを置かず、椅子とテーブルだけで過ごす空間には、風や光、草木の気配がそっと入り込む。
まるで屋外と屋内の境界が消えたような、柔らかな距離感がここにあります。

青い堀床のセカンドリビングは、視線が下がることで包まれ感が増し、より深くくつろげる空間に。
お施主さんの夢だったヘリンボーンの床から、見せない収納、照明の明るさの最小化など、細部にも“癒し”への意識が貫かれています。

つい居座ってしまうような居心地の良いリビングと開かれたダイニング、そして雑木を育てる庭が溶け合うように構成された空間。すべてが“緑の中に暮らす”という感覚を、日常の中にそっと根づかせてくれます。

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採用されている製品

ジョリパット|アイカ工業
アイカ工業株式会社
YIA イシウエヨシヒロ建築設計事務所
石上 芳弘
ここが私の評価ポイント!
外壁にはアイカ工業の塗り壁材「ジョリパット」を採用。
20年以上にわたって信頼し、これまで数多くの住宅で用いてきた中でも、耐久性とクラックへの強さは際立っています。保証体制がしっかりしている点や、実際の塗りサンプルを用いた丁寧な打ち合わせができる点も、お施主さんにとって大きな安心材料に。
塗り方や色のバリエーションが豊富な中で、今回は緑がもっとも美しく映えるグレーにたどり着きました。この“落ち着きのあるグレー”は、屋内外のつながりをやわらかく包み込み、雑木の庭と室内を一体的に感じさせる重要な要素のひとつになっています。
採用製品
カーペット|堀田カーペット
堀田カーペット株式会社
YIA イシウエヨシヒロ建築設計事務所
石上 芳弘
ここが私の評価ポイント!
カーペットには堀田カーペットのWILTON ROLL CARPET/HDC-907を採用。
柔らかな肌ざわりと、深みのある質感が特徴。渋めのトーンの青色をセレクトし、空間全体に落ち着いた高級感を添えています。素材選びには無垢材にこだわり、“人が触れるものには本物を”という思いに通じています。
厳選された天然繊維ウールは抗菌性や衛生面にも優れ、子どもが床で過ごす時間が長い家庭でも安心。自然素材ならではの呼吸をするような質感が、空間に静かな一体感をもたらします。
採用製品
YIA イシウエヨシヒロ建築設計事務所
石上 芳弘

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