プロの住宅レシピ 鎌倉の緑景と呼応する──伸びやかに気配をつなぐ住まい

村上康史建築設計事務所
村上 康史
レンジフード

造作キッチンの突板は木目の模様が自然につながり、端正で洗練された印象に。視線の先には鎌倉の緑景が広がり内と外が呼応し暮らしに奥行きを添える。

勾配天井が屋根の構造を引き出し、吹き抜けを介して上下階が繋がる。 畳の小上がりと隠された配線収納などの生活感を抑える工夫が、穏やかな居心地を生む。

子供部屋は将来リビングや縁側へ転用可能な設計。通り土間を介して外と緩やかにつながり遊びや家事が溶け込む。半屋外的な開放感が暮らしに息づく。

アクセントとなるピーラー材の扉が温かく迎える玄関。通り土間は裏庭へと視線を導き、軽やかな、開放感と動線を両立した設計となっている。

白壁と木の扉が調和した外観。高台の立地を活かし、開口部から漏れる光が街並みにやわらかさを添える。周辺環境と響き合う落ち着いた佇まい。

鎌倉市の高台に建つ4人家族のための住まい。鎌倉の自然を感じながら暮らしたいという思いからこの土地が選ばれました。人当たりの柔らかなご夫婦は、ご近所付き合いの多い地域にも自然に溶け込んでいます。

住まいづくりのご要望は、白を基調としたシンプルさと自然素材を部分的に取り入れること。ホテルのような生活感のない空間を好み、暮らしの道具はすっきり収めたい──そんな思いをもとに設計が始まりました。

高台ゆえに眺望を望む一方で、周囲の住宅との視線が重ならないよう開口の位置や高さを繊細に調整。屋根の勾配を活かした天井は極力シンプルに保ち、照明は壁付けで間接的に光を広げています。

キッチンにはオーク材を用いた造作収納を設け、エアコンを棚の収納に組み込んでいます。ポイントを黒色で仕上げることで空間を引き締めています。

TVの向かい側にあるワンタッチの収納には配線や機器が収まっており、生活感を抑えながら構造と調和させる工夫が施されています。

安全面では階段に小さなスライド扉を設け、お子さんの成長に配慮。細やかな気遣いが組み込まれた仕掛けが日常に安心感を与えます。

1Fの水回りの近くに配した子供部屋は、洗濯物を畳むスペースにもなり、家事の合間にお子さんを見守れる計画です。将来的にセカンドリビングや縁側に転用できる柔軟性もあります。

外観は白い壁にアクセントとなるピーラー材の大きな扉が特徴。玄関前の通りは限られた住人だけが行き交い、プライバシーを守りながら地域に溶け込んでいます。扉を開放すれば、土間空間を通じて裏の庭にまで視線が抜けるので、お子さんが存分に遊べる環境が広がります。

完成後の暮らしは狙い通りの眺望に恵まれ、風や鳥の声に包まれる日常。エアコンに頼らず過ごせる心地よさや、TVをつけなくても満ち足りる時間。鎌倉の自然と響き合うこの住まいは、家族の伸びやかな日常をやさしく支えています。

Photo:髙橋 菜生

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採用されている製品

レンジフード|toolbox
株式会社TOOLBOX
村上康史建築設計事務所
村上 康史
ここが私の評価ポイント!
レンジフードには、ツールボックスのフラットレンジフードを採用。
決め手はその薄さです。屋根の高さを梁のラインに合わせて設計しており、窓際の天井高は2.1mと一般的なキッチンより低め。高さの制約がある中で、空間の意匠を損なわず納められるレンジフードが求められ、この製品にたどり着いきました。極限まで抑えた厚みは梁の連続する水平ラインと調和し、視覚的にすっきりと収められます。
加えてシンプルなデザインとリーズナブルな価格帯も実用的です。 空間に軽やかに溶け込みながら生活感を抑えつつ、スリムさが意匠に寄り添う点で最適です。
採用製品
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村上 康史

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