プロの住宅レシピ 緑と光を導く──時間の流れをデザインした箱根の山荘

ミナトデザイン1級建築士事務所
湊 弘幸・佐藤 真紀子

深い軒の下に連続する木製サッシが内外を緩やかにつなぐ。手すりを設けず、大きな段状のデッキがゆるやかに視界を広げる設計。

大開口から森の緑と光を取り込むLDK。レンジフードを隠した造作壁やカウンターの高さ調整など、視線を遮らずに構成を保つ工夫が随所に見られる。

天井高を最大限に活かし、光が柔らかく落ちる位置にトップライトを配置。 時間の移ろいを内部空間に映し出すように設計されている。

白く塗装したパイン材の床と、吹き抜けを介した大開口の連続が開放感を強調。1階のウォールナットとの素材対比によって、空間に水平的なリズムを生んでいる。

窓上の軒の深さを精密に調整し、隣家の視線を遮りつつ柔らかな自然光を取り入れる。寝室全体が森の静寂と共鳴する穏やかな空間となっている。

神奈川県箱根町、芦ノ湖を望む高台に建つ週末住宅。リタイア前のご夫婦が、将来は長く滞在できるようにと計画された別荘です。

山小屋のような木の外観が印象的で、温泉付きの浴室を中心に自然の風と光を取り込みながら心地よく過ごせる空間が整えられています。

見晴らしのよい敷地ながら隣家もあるため、浴室をボリュームの中心に据え、外付けブラインドで視線を遮りながらも光を柔らかく取り込む計画。

温泉の湯に浸かりながら外の緑と風を感じられる開放的な浴室は、この家の象徴的な空間となっています。

外壁は耳付きの板が波打つような表情をつくり、箱根の山並みに溶け込むような存在感を生み、天然素材ならではの艶と深みを引き出しています。

湿気の多い地域性を踏まえ、床下換気や除湿機の常時稼働によって素材の呼吸を保ちながら耐久性を高めています。

擁壁はコンクリートではなく、地域の「箱根積み」を用いて構成し、石の間から山野草が芽吹く柔らかな表情を演出しています。

経年とともに風景に溶け込み、訪れるたびに表情を変える。木と石、光と風が響き合うこの住まいは、季節の移ろいとともに静かに深まっていく時間を包み込み、リタイア後の暮らしをやわらかく受け止めてくれます。

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