プロの住宅レシピ 解体しないリノベーション
森吉直剛
このリノベーションでは、間取りや建具、天井高さなど空間的な問題はほとんどなく、素材感が課題点でした。そこで床や壁、天井などを取り払う形ではなく、既存の物の上から壁や天井はプラスターボードを増し貼りし、ビニルクロスではなく塗装仕上げにしました。床も既存の物の上にフローリングを増し貼りしています。それによって工期とコストがかなり抑えられました。
元々天井高が高い物件だったので、天井が9.5mm低くなり、床が12mmほど上がりますが、体感はほとんど変わらないであろうという判断でした。(コストを下げるためスプリンクラー等の既存設備はボードをくり抜き、移設無しで対応。)
ただし、荷重は少し増えるため、施工前には躯体の状況などを精査して、問題ないことを確認しています。
こういったリノベーションアイディアの可否の検証が出来るのは実際の建物を新築もしている設計事務所の強みかと思います。