プロの住宅レシピ 不可能を可能にした、ひかりの「透明な廊下」
南と北の2つの道路に接道する旗竿地。隣家が隣接する都市部らしい敷地条件の中で、「リビングはどうしても一階にしたい」というご希望がありました。
隣家が迫る旗竿敷地では一階が暗くなりやすいため、二階リビングにして光を確保するケースが多いのですが、一階リビングへのこだわりをお持ちだったことから、一階に光をどう取り入れるかを検討しました。
そこで採用したのが、透明な廊下です。二階の廊下にはポリカーボネートを採用し、二階から入る光をそのまま一階に落とす設計としました。吹き抜けを設けるのではなく、床として機能しながら光を通すことで、床面積を減らさずに明るさを確保しています。
ポリカーボネートは、防弾ガラスにも使われるほど衝撃を吸収する性質があり、粘りが強く、いきなり割れることがほとんどない素材のため、安全面でも適しています。樹脂素材のため、夏と冬で伸び縮みするという特徴から、ビスで固定はしていません。
一階では、階段に面した東側にも高窓を設けることで、プライバシーを確保しながら午前中の光を取り入れます。ところどころにある隙間から入ってくる光を細かく拾うことで、一階の明るさを保っています。
さらに、隣家との距離が近いことから圧迫感を感じないよう、天井は構造体を表しにし、できるだけ高さを確保しました。収納などの壁の上部を切ることで、視線が明るい方へ抜けるようにしています。
内装には、塗装調クロスを採用。塗装のように見える質感で、光をやわらかく反射させます。今回はワンポイントとしてグレーを取り入れ、白とのコントラストの中で空間に落ち着きをプラスしました。
厳しい条件を前提としながらも、大胆なデザインと、光を細かく拾う工夫を積み重ねることで、気持ちよく暮らせるリビングとなりました。