プロの住宅レシピ 折れ屋根でつくる、平屋のような2階建て

石崎建築設計
石﨑 哲也・石﨑 瑠美子

折れ屋根で、2階建てながらも平屋を思わせる外観。

前面道路からみる外観。

大きな軒のおかげで、夏の暑い日も子どもたちが外で遊べる。

L字の構成で、ビルや前面道路から庭が見えないので、プライバシーが確保できる。

天井でもっとも高い部分は約4.57メートルに達する。

都心のマンションから移住し、子育てをするための新しい環境を考える中で、昔からこの土地に暮らす人との関係性を大切にした住まいを計画しました。

前面に通学路、東側にはオフィスビル、西側には昔から顔見知りのご家族の住まい。敷地北側の奥には、庭いじりを趣味とするご家族が暮らす平屋が建つという環境でした。
こうした周辺条件の中で求められたのは、オフィスビルからの視線を適切に遮りながら、隣接する住宅にできるだけ日陰を落とさないこと、そして前面道路に対して威圧感のない佇まいにすることでした。

そこで、特徴的な架構形式である「折れ屋根」を採用。
道路側の高さを抑え、奥に向かってボリュームを確保することで、内部には奥行のある空間を生み出しつつ、周囲への圧迫感を抑えた平屋のような外観としました。
さらに建物をオフィスビル側に寄せてL字型の平面にすることで、オフィスビルからの視線を遮りながら、隣家に対してはできるだけ日陰を落とさないように配慮。光と風を住まいに取り込むように設計しています。

この住まいのもう一つの特徴は、壁から約2.7メートル跳ね出した深い軒です。
通常であれば大きな軒を支えるための柱が必要ですが、三角形で構成されたトラス構造を採用することで軒を支持し、柱のない中庭空間を実現しました。
深い軒は外からの視線を遮るだけでなく、年々厳しさを増す夏の暑さへの対策にもなっています。夏の直射日光を和らげ、子どもたちが安心して外で過ごせる環境をつくりました。
隣近所との自然なコミュニケーションも生まれ、程よく街に開かれた住まいとなっています。
 
Photo:山内紀人
受賞:第29回静岡県住まいの文化賞 特別賞/ウッドデザイン賞2025

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