プロの住宅レシピ 柱と梁を生かす、暮らしのサイズに合わせたリノベーション
神谷 幸治
工房兼住居を暮らしのサイズに合わせて改修した住まい。
もともとは1階を作業場、2階を住居としていましたが、高齢化に伴い、1階で生活が完結する住まいへと見直すことになりました。
小さなアトリエスペースは残しながらも、生活の中心を1階へ移す計画です。
住まいは住宅密集地の中心にあり、建物の中央部には光が届きにくく、室内は暗い印象でした。そこで、屋根が重なり合う部分を少しずらすことで北側から光を取り込み、室内全体を明るくしました。
以前の住まいで使われていた階段はそのまま残し、上部の窓の開閉用に改修。通風が確保され、特に夏場には風が流れ、快適に過ごせます。
内部は既存の構造材を生かすことを前提に計画しました。
引き継いだ柱や梁はそのまま残し、間仕切りを最小限に抑えたワンルームに近い構成へと変更。経年の味わいを感じる柱や梁は空間のアクセントとなって、屋根裏部屋のようなどこか懐かしい雰囲気に仕上がりました。
収納は「見せる収納」を選択。
好きなものをしまい込むのではなく、出して楽しめる暮らしを想定して計画しています。柱や梁がしっかりと存在感を持ち、住まいの歴史を感じさせる空間は、雑多で多少生活感のあるものが並んでも違和感がありません。
柱には気兼ねなくピンを打って自由に小物を飾れるカジュアルさも、この住まいの楽しみ方のひとつです。
梁を現しにすることで、空間を広く見せるだけでなく、以前の住まいの記憶を思い起こしてくれます。そして、暮らしの起点となる場所として受け継がれていきます。