プロの住宅レシピ 光と空気の循環する家
若原一貴
住宅を設計する際にはどうやって換気・空調をつくるかのプランニングが重要です。
『瑞江の住宅』ではふく射冷暖房を採用し、その暖気、冷気を効率的に各フロアに届けるため、空気の通り道を工夫しました。別記事の『半地下でも自然光が届く トップライトの明かりを運ぶ光ダクト』で紹介したのですが、この住宅には3層上のフロアのトップライトから半地下に光を届けるために家の中を走る光ダクトがあります。これは自然光を反射で届けるため内側が鏡面になっているダクトです。これを光だけでなく空気の通り道としても使用しています。写真1枚目奥の階段の手前に光が落ちている箇所、これが光ダクトの開口部分です。そして写真の手前右上に見えているのがふく射冷暖房のパネルと空気の通り道であるガラリです。このダクトとガラリで吹き抜ける箇所をつくることで空気が家の中を循環できるように設計しました。
そのままの状態では暖気は上に、冷気は下にたまってしまうのでファン(写真5)で暖気を下に送ったり、冷気を巻き上げたりできるようにしています。この住宅は半地下の箇所があるのでカビを起こさせないためにも空気が循環することはとても大切なポイントでした。そういったケース以外でも、省エネ性能やヒートショック対策が気にされる昨今、空気の循環を考えることで、家全体を快適な温度環境に近づけることが可能です。