プロの住宅レシピ 階段と天窓の自然光で生まれる光の筒 『天窓の家』
前 真吾
この住宅のエリアは第3種高度地区で、周囲の建物が高く、通常の窓からでは採光の面でやや不利な条件でした。しかし、自然光を感じられる明るい家にしたいと考え、天窓を様々な箇所に採用した設計としました。
キッチンや収納の上部にも天窓を設け、光が落ちるようにしています。南側の天窓には日当たりを調整するシェードなどは付けていますが、直射日光が当たっても歪まないように、収納の扉板などは最初から想定して板材を選択しました。
また、天窓の設計の中でも特に特徴的なのが、天窓とシースルー階段を組み合わせて生みだした光の筒です。3階の階段の上に天窓を設けて自然光を採りこみ、シンプルなシースルー階段で2階までその光を通して、明るさを届けています。階段スペースが光の筒になり、周囲を囲まれた2階の室内でも自然光を十分に感じられます。
また1階と2階つなぐタイル貼りの階段でも、登り始める時点で明るくなるのを感じられます。階段というと閉じた暗いイメージがありますが、天窓の光を感じられ居心地のよい場になっているかと思います。
住宅密集地などでも目線を避けながら光を採りこめるので、天窓とシースルー階段の組み合わせはおすすめです。