プロの住宅レシピ 訪れる人を癒す庭
村田 淳
福島県富岡町は東日本大震災で帰還困難区域に指定され、解除される2017年まで居住ができない状況でした。解除され、施主が建て替えを決めた際、施主の住まいと仕事場である診療所が隣接しているため、戻ってこられた方が少しでもリラックスでき、癒される空間にしてあげたい・・という施主のあたたかい思いやりが、この設計の根幹にあります。
診療所だけど、診療所じゃない。どこか家にいるようなくつろぎをつくってあげたい。
そこで施主の住まいの緑とつながる庭を、とても広くつくりました。
庭を存分に楽しめるよう、開口部を大きくして建物と外を繋げることで、診療所に来た方が待っている間、室内からでも、外の空気に触れながらデッキのベンチからでも緑を眺められるようにしました。外に出て庭の中を散策することもできます。
すがすがしい風が吹き、季節の花が四季を告げ、野鳥も遊びにくる庭は評判となり、施主が庭を見に来る人の為に手製の散策地図を作ったほど。
庭と建物の結びつきを深めることで、来る方の心も安らぐ場所となりました。