プロの住宅レシピ 雪国の暮らしを快適にする小さな建具

狩野一貴建築設計事務所
狩野一貴
床タイル 全開口窓

写真左側の白い壁の上方に小さな引き戸が設けられている

天井杉板

左側の壁の向こうは階段室

リビングの壁の向こうにある階段室の様子

写真1,2枚目の左側の白い壁の上の方にある小さな建具(引き戸)が今回ご紹介する工夫です。
『荻布の家』は富山県の住宅です。この地域は雪が多く降り、寒冷でもあるため気温や降雪対策を考えて設計する必要があります。開放的な住宅というのは気持ちの良いものですが、地域によってはその開放性ゆえに冬場は寒くなってしまいます。そこでこの住宅では吹き抜けで上下階をつなぐような設計にはせず、階段室とLDKを分けて、部屋の体積が小さめの早く暖まり易い作りにしています。
そしてその中で、活躍しているのがこの小さな建具です。実はこの建具を開けると、その向こうは階段室の上部空間です。冬などの寒い時期には閉めて暖気を逃さず、春秋などの中間期は建具を開けることでリビングと階段室(ここにも窓あり)に風が流れて快適です。さらに階段室側の窓明かりもこの引き戸を開けることでリビングに届き、空間につながりが生まれます。
どこもかしこも開放的に、というのではなく、気候、風土にあった家づくりを行うことが快適な暮らしには重要と考えています。

PHOTO:dot DUCK株式会社 内山昭一

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採用されている製品

タイル|Danto Tile (ダントータイル)
株式会社Danto Tile|ダントータイル
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狩野一貴
ここが私の評価ポイント!
■採用製品:CTO-6/600X300W コット[CTO]

色味が黒・グレー系のタイルで床暖房対応のものを探しました。 サンプルを比較して、色・質感共にイメージに合ったコットを選定しました。 長方形のタイルを採用し、たがいちがいの『馬目地』としています。 裸足の歩行感がよく、床暖房でも足裏に優しい暖かさです。 タイルはフローリングより蓄熱効果も高く、熱伝導率も高いので部屋全体を長時間にわたり暖かく保てます。 また、床暖房を使用しない時期でも、タイルが適度に冷えて夏場も快適です。 デザイン性だけでなく使用感も非常に快適で、大変満足しています。
採用製品
狩野一貴建築設計事務所
狩野一貴
ここが私の評価ポイント!
■採用製品:オープンウィンスライディング

ベランダに直接つながっている窓なので、開けるときにフレームが引き込めて内側から見えなくなる全開口タイプのものを選択しました。最初は木製サッシも検討したのですが、重量、コストの問題、吊り上げで入れるのも難しい環境といった条件からこの2枚引きタイプのオープンウィンスライディングを選択しました。サイズの指定もでき、求める条件に合わせて選択しやすい製品です。
採用製品
木材|ウッドリンク株式会社
ウッドリンク株式会社
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■採用製品:上小無地羽目板(羽目板内部用)

『荻布の家』の天井の杉板に使用しました。 柾目(まさめ/直線的な木目)ではなく板目(いため/山が重なったような曲線の木目)を使用することで、味わいのある和の表情が強調されます。天井は面積が広いので飽きの来ない物を選びました。 同じ富山県内の企業で、豊富な施工事例を拝見し、製品が効果的に建築に使われていました。 実際に板の状態もとてもよく採用しました。
採用製品
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狩野一貴

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