プロの住宅レシピ 光と風が抜ける透かし積みのレンガ
藤江 保高
『下馬のゲストハウス』ではアールの外壁のおおらかさを表現できる素材を色々と考えた中で選定したのが、レンガでした。
金属だと反射が強すぎ、コンクリートでは圧迫感が出ると考えました。そこで、レンガを光と風が通り抜けられる透かし積みにしました。レンガは遮蔽性能や重厚感がありながら、自然由来の風合いが柔らかい雰囲気も生み出す魅力的な素材だと思います。経年の変化や汚れも味わいに昇華してくれるので、メンテナンスもしやすいという利点もあります。
この建物では、大規模に高くレンガを積んでいるので、耐風圧の対策としてスチールバーを間に通すなど、構造上の工夫が必要でしたが、一般的な住宅でもレンガの透かし積みを取り入れることは可能です。
またこの建物はゲストハウスということで、非日常の空間を楽しんで欲しいので、レンガの壁の内側にいくつもの庭を配置し、どこの部屋からも臨めるようにも設計しています。
PHOTO: Jimmy Cohrssen、ESPAD環境建築研究所