プロの住宅レシピ ハイ&ロー 自分の価値基準を見直すきっかけになる家づくり
北村直也
『幸田町の家』はいわゆるローコスト住宅と言われる建物ではありますが、家づくりの際に価格の安さを判断基準にして建てられた家ではありません。
なんでも安ければ、または、高ければよいというものではなく、自分にとって何が大切かということを施主の方と見直しながら一つずつ選び取って行きました。
内装は合板むきだしや塗装でシンプルな仕上げにし、ローコストの持つ作りこみすぎない面白さを活かしました。
その一方で、ドアノブなどはこだわって選んでいます。アルミで軽い素材の安いノブなどもありますが、毎日手が触れるドアノブはしっかりした重厚感のあるものを選ぶことで、日々の生活を大切にしている実感がもてると考えたからです。
また、施主の方の強い希望でキッチンはオールステンレスのグラッド45というものを選択しました。質に応じて価格はそれなりにしますが、使い勝手もとても良く、オールステンレスの存在感が空間にとてもマッチしています。「これでないとダメ」と施主の方が自分で選びとった大切なポイントです。
家づくりは、自分の暮らし方や価値観を見直すよいきっかけになると思います。
PHOTO: 太田拓実