プロの住宅レシピ 玄関に連なるフレキシブルでカジュアルな和室
『手に届く贅沢を味わう家』では玄関に連なる和室を設けました。玄関の土間からベンチの高さになるように設計し、ちょっとした来客の際に、わざわざ家の奥まで通さなくとも腰かけて軽く話したり、そのまま靴を脱いで和室に上がってもらい、客間としても対応できるようにしています。
和室にしたのは、畳のほうがそのまま座れたり、お出かけ前の着物の着付けに使ったりと空間の使い方の自由度が高いと考えたからです。あまりかしこまったり、閉じた雰囲気にはしたくなかったので、吊り鴨居にして空間の上部を開けたものにし、空間の広がりや空気の流れを断ち切らないようにしています。
また、L字の吊り鴨居で仕切る建具はすべて障子で、閉じて明かりをつければ部屋自体が大きな行燈のようにぼぅっと光ります。使わない時は完全に壁に引き込んですっきり収納でき、壁と一体化したような白い蓋に隠れて目立ちません。
住まい手の生活に応じてフレキシブルに使える空間にしたかったので、自分なりに現代的に解釈したカジュアルな和室です。