プロの住宅レシピ 部屋ごとの環境格差を解消 光と風が南北につながる通り部屋

border design architects
鳥居信貴

北側の寝室。南側のLDKまで通り部屋でストレートに繋がるため、明るい光と風が通り抜ける。

南側のLDKから北方向を臨む。家の中で格差なく光と風が行き渡る。

カーテンレール

南側のLDK。写真左端には引き込んで収納された間仕切りが見える。小口も周囲と同色に塗装されて一体化して目立たない。

間仕切りで区切ることも可能。上部は開けて風と光は断ち切らない仕様。

扉の開いた白い箱の中には、浴室や洗面台などの水回りが収まっている。水回りの金具は真鍮、他の場所は黒で視覚的な統一感を持たせた。

一般的なマンションの間取りとして、南側に明るく大きな開口のあるリビングなどが配置され、北側の部屋が暗く条件の良くない個室になっているものが多く、以前よりその格差を解消したいと考えていました。

『ROOM407』はそんな部屋ごとの環境格差を無くして、居室全体に光や風を行き渡らせることを目指したマンションリノベーションです。
その際にプランの中心となったのが『通り部屋』と呼ぶ家の南北を貫く空間です。南北の既存の掃き出し窓を一直線につなぐことで風や光を居室の隅々まで行き渡らせ、南北の格差を一掃しました。
また『通り部屋』はフレキシブルに使える生活空間です。ワークスペースも備えており、木目の壁面は一面収納になっています。反対側の白い箱状になった壁の中には水回りをすべて収め、それらへの動線としての役割も担っています。
必要な時には間仕切りを閉じて、個室として使うことも可能です。ただし、その際も上部は開けて南北の通りはキープしています。
収納や水回りなど時として乱雑に見えがちな部分をなるべく『通り部屋』に現さない形にすることで、風や光が通り抜けるこの家の心地よさを作り出しました。

PHOTO:植村崇史写真事務所 植村崇史​ ​

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採用されている製品

カーテンレール|TOSO(トーソー)
トーソー株式会社
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鳥居信貴
ここが私の評価ポイント!
■採用製品:シーリングレール シエロライン

天井埋め込み型で、空間の邪魔をしないカーテンレールです。カーテンレールは機能として必要なものであって、これ自体に主張をしてほしいものではありません。シエロラインは製品自体に感情があるような質感ではないので、邪魔と感じづらく、複数の案件で採用しています。
また、普段暮らしている方が気になるところではないのですが、シエロラインに対して1点だけ要望したい点があります。 カーテンを吊るすランナーの数を後からでも変更できる機構にキャップがついているのですが、これがレールのラインに対して、大きいパーツなのが少し気になります。機能としては良いもので必要な物なので、意匠面でもう少しレールのラインに沿うようなものに改善さればよりすっきりときれいな仕上がりになる、と感じています。
採用製品
DAIKEN畳 (和紙畳)|大建工業
大建工業株式会社
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鳥居信貴
ここが私の評価ポイント!
■採用製品:ダイケン健やかおもて 清流(灰桜)

『ROOM407』で採用した和紙畳です。い草の畳ではないので経年した時の風合いなどはやはり本畳とは違ってきますが、メンテナンスのしやすさなど、現代の忙しい生活の中で負担が少ないというメリットがあり、提案しやすい製品です。光の多く射し込む窓の近くなど、い草だと日焼けが気になるようなケースの際も採用しています。また、本畳と比べて薄いので、フローリングと続きの間にするときも、高さを合わせられるという点も便利です。本畳はどうしても厚みがあるので、高さを揃えるためには床を一段下げてその上に畳を敷かなくてはなりません。すると1工程増えるので、コストに関わってくる部分でもあります。そういったひと手間が必要ない部分も和紙畳のメリットだと思います。とはいえ、本畳、和紙畳それぞれの良さがあるので、状況、計画に応じて使い分けしています。
採用製品
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鳥居信貴

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