プロの住宅レシピ 金属と木が織りなす墨の家 ~経年変化を味わいにする壁~

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安河内 健司・西岡 久実
塗料

光に照らされたニュアンスのある墨色の壁面。実は天井と同素材(OSBボード)を塗装したもの。通常は金属に塗る亜鉛メッキ(コーティング)材を使用している。

塗装作業中の様子。溶剤がOSBボードの接着剤に干渉して溶かさないように、手早く薄く塗って風を当ててすぐ乾かすのがポイント。

壁面アップ。左が朝日のもと見える色味、右が午後の光のもとで見える色味。光の当たり方で色味や質感の見え方が変化する。見学会では来場者が素材がわからず、塗りの左官壁かと思われる方も。

扉の部分は通常の黒ペンキで塗装。対比が楽しめる。写真右の一段上がったスペースはシルバーカラーで光沢のあるメッキカバーを採用。メッキ材は金属なので経年変化も楽しめる。

塗料

夜間の様子。照明のもとで様々な表情を見せる壁面。メッキ材に含まれる亜鉛の粒とOSBボード表面のラフな質感が趣のあるムラ感を生む。

施主はご自宅で書道教室をされている方です。いずれ墨のハネなど拭いても取りきれない汚れが壁についてしまうことが想像できました。
そこで墨の汚れさえも味わいとして採りこめる空間をつくることを考えました。
墨の濃淡を表現した壁面をつくる方法を模索するために、材料となるOSBボード(木片を接着剤で圧着した素材)に墨汁を塗ってみたり様々な方法を試しました。
そこで思い至ったのが、通常錆止めなどの目的で金属に使用するローバルの亜鉛メッキ材を塗布する手法でした。
これは陶芸家の友人から、陶器は様々な鉱物を含む土や釉薬が焼成されて化学変化をすることによって想像を越えた独特のテクスチャを生むという話を聞いたことがヒントになりました。
メッキ材に含まれる亜鉛も鉱物由来です。焼成することはありませんが、異素材と組み合わせることで新たな表情を見せてくれるだろうと考えました。
ローバル製品を木部に使用するのは初めての試みです。ローバルの担当者の方も興味を持って下さり、一緒に風合い良く仕上がる塗り方のコツなどを探りました。
試行錯誤の末に、亜鉛とOSBボードの質感が様々な時間帯の光によって様々な濃淡や表情を見せる『墨の家』が生まれました。

PHOTO: 堀内広治(1,4,5枚目)/group-scoop(2,3枚目)

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採用されている製品

マットカバー・メッキカバー|ローバル
ローバル株式会社
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安河内 健司・西岡 久実
ここが私の評価ポイント!
■採用製品:低光沢MATTE COVER

『墨の家』で墨の濃淡を表現した壁面を生み出すために使用しました。通常は金属に使用するMATTE COVERですが、OSBボード(木片を接着剤で圧着した素材)に塗布することでボードのラフな表面感と組み合わさり、光や角度によって様々な色や質感を見せる壁をつくることができました。 金属素材なので経年で酸化して変化してさらに味わいが加わっていく点も魅力的です。
採用製品
マットカバー・メッキカバー|ローバル
ローバル株式会社
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安河内 健司・西岡 久実
ここが私の評価ポイント!
■採用製品:メッキ化粧用スプレーMEKKI COVER

『墨の家』の壁面には『低光沢MATTE COVER』を塗装していますが、部屋の一角の一段上がったスペースの壁面には、色と光沢感の異なる『メッキ化粧用スプレー MEKKI COVER』を採用しました。光を映りこませたり、反射したりと空間のアクセントとなっています。
採用製品
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安河内 健司・西岡 久実

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