プロの住宅レシピ 地域の原風景を住宅に!畝のようなベンチがあるリビング
北村 拓也
お施主様のご希望の広いLDKを持つ住宅。この住まいは、地域の風景をヒントに、その魅力を家の中に取り入れることを目指し設計しました。
敷地のある栗東市では、農家の方が田畑の畝に腰掛けて、横並びで話す風景がよく見られます。畝が社交場のような役割を果たしていて、魅力的な風景でした。このような地域の風景を住宅に取り入れ、一人でも大勢でもコミュニケーションが取れるよう、特別にデザインしたベンチを設置しました。畝を思わせるベンチは、日中には寝転んだり、子どもたちがテーブルのように使ったりすることができます。夜には、大人たちがお酒を飲んだり、リラックスしたりと、思い思いの使い方ができる多機能なスペースです。ベンチ下はすべて収納になっているので収納力も抜群です。
吹き抜けでつながる2階の空間には、1階のベンチに平行して長いテーブルを設置しています。これにより、つながりながらも適度な距離感を持つこともでき、ちょっと読書をしたり、子どもたちは勉強したりと家族のライフスタイルに合わせて使用できます。
畝のベンチや2階のテーブルと絡めて窓をバランス良くとり、明るい窓辺の空間をつくって、室内と外の風景が溶け込むような一体感を演出しました。
日常生活の中で地域の魅力を家の中に引き継ぎながらゆったりと過ごせる住まいです。
Phot : 髙橋菜生