プロの住宅レシピ レンガの魅力を活かす、オシャレで機能的な住まい
石 憲明
外壁の一部をレンガ模様貼りとし、デザインの要としました。レンガの質感やサイズ、割り付けと組合せにこだわりました。
レンガは昔から馴染みのある素材である反面、古くさいというイメージを持つ方も多くいますが、上手に使うことでアカデミックで歴史を感じさせる深みのある表情を見せてくれます。また、このレンガの壁をLDKにもあしらうことで、室内と屋外のつながりが強くなり、自然と外に出てしまうような一体感のある空間を実現しました。
この住まいは、「居住スペース」と「ユーティリティスペース(家事作業のためのスペース)」の2つのボリュームから構成されているのも特徴的です。南側の土地が低くなっている環境もあり、隣接する2階建ての住宅も平屋くらいの高さに感じます。そこで、居住スペースは敷地に対して35度回転させ、LDKの開口と縁側テラスがほぼ真南を向くように設計しました。
居住スペースを斜めに配置することで、周囲からのプライバシーを確保しながらも、光を大きく取り込み、空を広く感じることができます。プライバシーの確保が難しい北側にはユーティリティスペースを集約することで日常の家事動線も効率的になり、居住スペースはLDKとして最大限に活用できます。
レンガの魅力を活かしたデザインと、居住スペースとユーティリティスペースの分離という工夫により、美しさと機能性を兼ね備えた、魅力的な住まいとなりました。
Photo : Akiyoshi Fukuzawa