プロの住宅レシピ 採光だけじゃない!天窓でつくる「心地よさ」
高橋正彦
この住宅に限ったことではありませんが、僕は住宅を設計する際「光と風があふれる気持ちの良い空間」をコンセプトにしています。
例えば、2002年の春に竣工した腰越の家は、窓の位置を工夫することにより自然の風を最大限取り込むように計画することで、家の中には常にフレッシュな空気が循環します。季節を感じる心地よい風が肌をなでていくのは、本当に気持ちがよいものです。ハイサイドライトや大きな吹き抜けにより、開放感あふれる空間となっていますが、この設計を叶えるための重要な設備の一つが天窓です。
天窓は、外からの光を取り込む明かり採りとしての要素が強いと思われがちですが、特に夏の暑い時期に滞留した暑い空気を外に逃がさせるサーキュレーターとしての役割にもその効果を発揮してくれます。実際、腰越の家には2つの天窓がありますが、1つは暗い階段室に光を呼び込む目的として。もう1つは、リビングのサーキュレーター効果を目的とした、異なる効果を見込んだ天窓を2か所設置しました。この令和の時代にエアコンにあまり頼らず生活するというのは極端な事例に感じる方もいるかもしれません(笑)。それでも室内にいながら「気持ちいい風だな」と感じて過ごせるほどの効果が天窓にはあります。そういった製品のポテンシャルを引き出すのも、建築家として設計の腕の見せ所かもしれません。
空調は1つの事例ですが、自然を感じるという意味では、家の中から空を見上げたり、星や月の明り・鳥が空を飛ぶさまを眺める暮らしに憧れる方にもぜひ提案したいアイデアの1つです。