プロの住宅レシピ 住宅地の「端」を活かす、優しく包まれた住まい
井口 哲一
大きな分譲地の端に位置し、田園風景と山々を一望できる場所にある住まい。住宅地と田んぼの境界線になるようなデザインです。
田んぼに向かってしっかりとした屋根を持つこの住宅は、屋根にボリューム感がありながらも、優しく柔らかい印象を与える外観です。屋根と同じ素材を外壁にも使用することで、全体が一つの大きなもので包まれたような雰囲気となり、屋根をくり抜いたようなベランダが印象的です。
屋根からのぞくこのベランダは、風景を楽しむだけでなく、道行く近所の人や子どもたちとコミュニケーションが取れる場所として距離感も大切にしています。
周囲の風景と調和しながらも、独自の個性を持つこの住まいは、自然と人々の繋がりを深める場となっています。
「暮らしを想像しながら設計して下さり、住み続けている今もとても快適で家族にとっては家が癒し空間です。素材感にもこだわり、木がたくさん使われているところも好きです。 暮らしながらも相談して新たに製作していただくこともあるので、勝手に今も一緒に家を育てていただいている感覚です」というお声を頂いています。
Photo:佐武浩一