プロの住宅レシピ 街の賑わいを住まいに 囲わず、隠さず、取り入れる玄関
花本 大作
小さな街の商店街に建つ住宅。
敷地の周りには小売店、飲食店、医院、遊技場、集合住宅など様々な規模の建物が建ち並び、人通りのある場所に建つ住宅では、この雑多さから切り離し外壁を立て、内部に中庭を設ける住まい方を考えました。しかし、この街に住む意味を考えたときに、切り離す設計ではなく、あえて雑多な街の雰囲気と魅力をそのまま住まいの中に引き込む設計としました。
街へ開きながらもプライバシーを守るために、街とつながる玄関は広めにとり、駐車場であり庭になるような不思議な場所を住まいの前面に設けました。そうすることで、通りと玄関に距離が生まれ、街に開きながらも閉鎖的で窮屈さを感じることがありません。
玄関先の廊下をガラス張りにすることで、室内と庭兼駐車場スペース、そして街が繋がります。ガラスには外からの反射で街の風景が映り込むため、外からの視線を気にすることなく過ごせます。
植栽を利用して目隠しを作りつつ、室内に緑を取り込む工夫もされています。さらに、床面には土を混ぜたセメントを使用することで、植栽とのつながりを感じさせ、自然な雰囲気を一層引き立てています。
Photo : 益永研司写真事務所