周辺の建物が密集し制限のある敷地の中で、いかに開放的に住まえるかを考え設計した住まいです。
まず、普段家族が最も長く過ごすLDKを2階に配置。1階の面積を小さくし、2階を敷地境界線ぎりぎりまで広げることで、2階から見える景色は道路まで広がり、歩行者の視線を気にすることなく、2階全体が空間を占有している感覚になります。そして、LDKを取り囲むように敷地いっぱいにベランダを設けることで、まるで2階に庭があるような開放感を実現しました。
天井高は、景観上の制限を最大限まで活かした勾配天井とし、空を広く感じられるようにしています。
南側の窓には角度を持つルーバーを設置することで、夏は南からの直射日光を遮り、冬はルーバーをすり抜けた太陽光が室内まで届き暖めるなど、季節によって光の取り込み方を調整します。
バルコニーの大きな庇では、高さにもこだわり、雨や日差しを防ぐぎ、外壁の劣化や雨漏りリスクを減少させるだけでなく、日本人が親しみと安心を感じる高さでつくることで、心理的にも安心できる中間的な空間として新たな居場所となっています。
京都の杉やヒノキなど地域の木材や地元の職人の手仕事を大切にしており、職人の技術も感じられる温かみのある住まいが完成しました。

Photo : 髙橋菜生