■ 庭先の図書館──本と緑に包まれる光の住まい
鎌倉市北鎌倉の静かな土地に建つ夫婦と2人の子どもが暮らす住まい。
ご要望は仕事場としての書斎と大きな本棚、そして植物に囲まれて過ごせる庭でした。
「奥まった土地をどう開くか」をテーマに光と風を最大限に取り込む計画をご提案。
2階床を通常より1m持ち上げ、1階のLDKを天井高3.5mの大空間とすることで、隣地の庭や空の光が室内まで届くように設計されました。
天井には構造材を仕上げとして転用したLVLを用いて、木の線が連続する伸びやかな空間を築いています。
LDKの両端には性格の異なる2つの外部空間を配置。玄関側は2階の張り出しがつくる屋根付きのセミパブリックスペースで、車をどければBBQや来客の場にも使えます。
庭側には1.3mの庇を備えたウッドデッキを設け、食事や読書ができる穏やかな屋外の居場所としました。室内外を連続させることで奥まった立地でも光と風、緑に包まれる暮らしを実現しています。
1階と2階をつなぐ吹き抜け階段の途中には奥様の書斎を設置。仕事をしながらリビングの家族を見守れる中間的な位置にあります。
その傍らには子どもたちが遊べる小空間を設け、低い収納の上をボルダリングのように上れる秘密基地のような仕掛けに。天井の高低差がつくる立体的な構成が暮らしの中に遊び心を広げています。
壁面いっぱいに造作された本棚は構造と一体化し、日々の仕事と暮らしを優しく繋げています。
木と光と風が響き合う空間はまるで「庭先の図書館」。自然と創造が寄り添うように、家族の時間が穏やかに流れていく住まいです。
Photo:渡邊 聖爾