■ 輪之内町の新築平屋
濃尾平野が広がる豊かな環境での新築平家プロジェクト
敷地の北と西は田や畑が広がり、自然豊かな山々が望める岐阜ならでは!といった景観。
しかし、その開けた北西の方から吹いてくる季節風の恐ろしさを目の当たりにした現場となりました。
冬場はさほど積雪はないものの、風速1mで体感温度1℃下がると言われる風の影響で岐阜近郊の中では1番寒く、風が緩い日でも午後になると7、8mはざらにあり、計画時にしっかり考慮する必要がありました。
まずは室内からどのように西側の景観を眺めれるようにするかを検討。
夕方の西日はほぼ平行に入ってくるので、各部屋の窓寸法や位置に始まり、季節風による隙間風を抑えるために、木製窓は使用せず既成サッシ(ダキおさまり)とすること。Fix窓とする箇所は軒を出して、木でガラス押さえや格子を設えました。
この計画で難儀したことの一つに、施主の要望である「軒樋なしで屋根から外壁へと縦ハゼを連続させる意匠」とすることでした。
職人さんと一緒に検討を進め、綺麗におさめることができました。
玄関はおうちの正面となる南側に木製の3枚の引き戸としたことで、ザ・玄関!といった空間とせず中庭に面する木製建具から室内に入るようなイメージとなりました。
室内に入ると玄関の土間が続くダイニング、コーヒーを入れる奥様の個スペース、スチール階段で上がるロフトが見渡せ、その奥にはレースで仕切ったリビング、キッチンへと続きます。
さらにリビング奥には洗面スペース、洞穴感覚のヌックスペースへと繋がり、脱衣室、浴室、ファミリークローク、各寝室があります。
費用を抑えるための手段として、なるべく廊下を設けず空間と空間を繋げることを意識しています。ただ空間を繋げるだけだと隣の空間への音漏れや視線が気になることが多々出てきてしまうので、ちょっとした収納を挟んだり、ドアの開き勝手や遮音材の検討を欠かさず行う必要があります。
空間を繋げていく手法の場合、比較的狭い空間が生まれにくいので、行き来する際の窮屈感を少なくでき、床面積以上に豊かな広さを感じれるのでないかと考えています。
Photo : 八杉和興