村越邸

作品紹介

【洪水をデザインに活かした都市型住宅】
計画敷地は3方向道路に囲まれた角地かつ5角形の変形敷地で、近くに流れる小川や敷地に対して真直ぐ伸びた道路から風が吹き抜けると同時に、人や車の行き交いも多く周囲からの 視線への対策が必要でした。また洪水ハザードマップに該当した浸水する恐れがある地域でもあり、水害対策も兼ねた計画が求められました。 そこで敷地を取り巻く「光・風・人・車・水」の要素に対して、平面的・断面的な「抜け」をつくり、光や風を内部に届け、人や車の動線を確保しながら、水を受け流す構成としました。 また建ぺい率を最大限活用する為に敷地形状に合わせた5角形の平面構成として、高さ制限や防火規定、構造計画に配慮して、2 階 + ロフトの断面構成を選択。水害時に建物への影響 を最小限に抑える為、1階部分は高基礎を用いて計画としました。暮らしの豊かさと安心安全を考慮しつつ、敷地環境を最大限生かした空間を考えました。

周囲に住宅が建て込んでいる事とお施主様が窓が少ない方が好みという事で外壁側に極力窓を絞り、1 階の坪庭に繋がる外部吹抜に大きな開口部を設けて、プライバシーに配慮しながら、 採光・通風を確保しました。台形のリビングダイニングは視覚効果で面積の割に広く感じる空間となり、また回遊性のある間取りと外部吹抜の上部へと視線が抜ける事で、奥行きを感じる 設計としています。またランニングコストや地球環境への負荷にも考慮して、住宅の断熱性能にもこだわり、Ua 値 0.37、熱交換型のダクトレス換気の利用、気密対策も徹底し C 値を 小さくする事で、冬場でも殆ど暖房を使わないレベルを実現しました。

近年増加傾向のある天災への備えを建築に与える事で、お施主様への安全性を担保しつつ、コロナ渦以降でも気軽に安心して集える外の居場所にもなる「開かれた車庫 /public」と お施主様が集めた素敵なインテリアに囲まれた余暇を楽しむ「閉ざされた居間 /private」の2面性を併せ持ち、快適な暮らしを与えてくれる都市型住宅のあり方を考えました。

 

PHOTO:鳥村鋼一/小島康敬

作品データ

所在地: 東京都 大田区

延床面積: 122.36㎡

施工会社: 江中建設

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