プロの住宅レシピ 都心の自然を感じる。ミニマルでシンプルな住まい
杉本龍彦
住み手の要望は、「シンプルでミニマルな住まいに」。
そこで、可能な限り無駄を削ぎ落とすことで現れる美しい空間を目指しました。
ダイニングキッチンはたっぷりとした収納と充分な広さに加え、回遊性のある動線によって、機能性に配慮。スマートな設備や住み手に合わせた高さのアイランドキッチンとカップボードを制作し、使い心地を向上させています。ダイニングキッチンからスキップフロアを介して、東へ目を向ければ、森のような環境が広がります。
素材やカラーは温かみのある木を活かしつつ、モダンな雰囲気に。シンプルな美しさを求めて継ぎ目などのラインもできるだけなくすディテールにし、金物・器具等はシンプルで質の良いものを追及しました。
瀟酒な住宅街と緑豊かな自然という魅力的な2つの外部環境も、東西対称のバルコニーと窓を通じて楽しめます。急勾配の屋根もうまく活かすことで、天井の高い書斎を実現しました。
お手頃ながらも機能性とデザイン性に優れた既製品は、計画的に取り入れたことで住まいの世界観に見事に調和しています。
時間によってさまざまな表情を生みだすブラインドは、都心にいながらも千差万別に変化する自然を感じることができます。シンプルな内部空間が外の豊かな自然環境を際立たせる、洗練されたミニマルな空間が完成しました。
PHOTO:大崎 晶子/杉本 龍彦