プロの住宅レシピ 床座のリビング
斎藤裕美+平山真
地方での転勤生活が長かったクライアントご家族。
東京転勤を機に、元々ご実家のあった、都心ビルのメゾネット形式となった上部2層を改修して住まわれることに。
周りをビルに囲まれた環境の中で、どうすれば、寛いで過ごすことができるのかを考えました。
ご家族はこれまでも床に座って過ごすことが多く、食事もちゃぶ台でとられていました。
そこで、床に座って生活する「床座」の生活を基本に据え、家具などの設えも重心を低く設定したリビングルームを提案しました。
ちゃぶ台を囲むように、低い収納やまちを眺めることができる窓辺のベンチを配置し、床に座った時にもすぐ手の届く所に収納があり、かつそれらが背もたれにもなるようにしました。
天井はキッチンからリビングの開口に向かって高くしていくことで、空間を広く感じさせるとともに、低い重心から開口部上方へと視界が広がってゆく構成になっています。
アイレベルが高いと開口部を隔てた向かい側のビルが視界に飛び込んできますが、ひとたび床に座ると、向かいのビルの先には青い空が広がります。
都心の真ん中で空を感じる、床座のリビングを考えました。