プロの住宅レシピ 未来の住まい方にも自由を!RC×木造のハイブリッド構造住宅

コレッドデザインオフィス 一級建築士事務所
北村 拓也

フレームごとに開口の奥行きや陰影が異なり、街との関係に多様な豊かさを生み出している。

角地に小さな庭を抱え込み、街と緩やかに繋がる外観。

力強いRC梁に抱かれ、ひとつながりに広がる二階のリビング。

RCと木、二つの素材が重なり合う場。

RCフレーム越しに、木屋根の開口から空が抜けるピロティ。

長年の仕事に一区切りをつけ、生まれ育った町へ戻り、新たな暮らしを始めるご夫婦。
その住まいを考えるなかで、「住宅と時間の関係」が大きなテーマとなりました。
住まいもまた、人と同じように時間を重ねていきます。長く住まうほど、その家ならではの「らしさ」が少しずつ現れてきます。そうした時間の積み重ねを前提に、この住宅がどのように暮らしを包み込み、さらに将来の住み継ぎにも応えていけるかを考えながら設計を進めました。

当初は建物全体をRC造とする案も検討しましたが、「住まいとしての温かみも大切にしたい」というご要望から、RC造と木造を組み合わせたハイブリッドな構成としています。
構造の骨格はRCが担い、高い耐震性と強度を確保。その結果、LDKには柱のない大らかな空間が生まれました。一方で、屋根や壁には木造を用いることで、空間に柔らかさと親密さをもたらしています。
木造の外壁は、将来の暮らしに応じて部分的に更新しやすい構成としました。たとえば、駐車スペースを取り込んで室内を拡張したり、1階をオープンにして店舗へと転用することも想定しています。
シンプルなグリッドによる構成が、そうした変化の手がかりとなります。

RC造と木造、それぞれの特性は室内空間にも現れています。
玄関は、木の質感に包まれた小屋のようなスケールとし、扉を開けると、吹き抜けを介して1階と2階がゆるやかにつながる開放的な空間が広がります。木に包まれる場所と、RCの梁の力強さを感じる場所とが交互に現れ、素材の違いが空間体験に穏やかなリズムを与えています。

これまで事務所では、リノベーションや古民家再生にも多く携わってきました。既存の建物を活かしながら新たな価値を加えることで、時間の重なりが生まれ、その場所の魅力がより深まっていくことを実感しています。
新築の住まいにおいても、「何が残り、何が更新されていくのか」という視点をあらかじめ持つことで、完成時から時間の厚みを感じられる建築になると考えています。そして世代が変わった後も、新しい暮らしが自然と重なり続いていく住宅となるのではないかと考えています。

Photo : 髙橋菜生

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